恩師と共闘する若き指揮官は「丁寧な人」。大津高校・山城朋大監督が「4年目の終わり」と「5年目の始まり」に書き記したい未来予想図 高円宮杯プレミアリーグWEST 東福岡高校×大津高校マッチレビュー
「最近やっと考えられるようになったのは、平岡先生は僕らをどういうふうに見ていたのかなと考えた時に、やっぱり先生はすべてが見えていても、意外と“遊びの部分”は作ってくれていたのかなと思うので、今でも部室が汚かったら『オレらの時はちゃんとやってたぞ。オマエらの部室じゃないぞ』とか言っちゃいますけど(笑)、OBだからこそ気付ける部分も持ちながら、どこにラインを引くかというところは考えながらやれるようになってきましたね」。言うところと、言わないところ。経験を重ねる中でその精査は進んでいるという。
真夏の気配が近付く7月。リーグ戦8連勝を懸けて、東福岡高校と対峙した一戦のハーフタイム。指揮官は前半の出来に納得が行っていなかった。「僕も最初は『今日はバーッと言ってやろうかな』と思ったんです。大勝した後でしたしね」。その前の試合で静岡学園高校に8-1で勝っていただけに、気の緩みを感じ取った山城監督は、改めて喝を入れるタイミングを窺っていた。
だが、ロッカールームに帰ってきた選手たちを見て、考えが変わる。「ボランチの嶋本(悠大)と畑(拓海)が『セカンド拾えんくてゴメン』と言っていたんです。話を聞いていても意外とみんながそういう感じで、自分のできていないところがわかっていたので、『それならもういいや』って」
気になった点だけをシンプルに伝えて後半のピッチに送り出すと、チームは終盤に力強く2ゴールを奪って、勝利を引き寄せる。言うところと、言わないところ。指導者にとって肝になるようなこの2つも、より効果的な形で使い分ける術を実戦の中で的確に駆使しながら、結果に結び付けてきた。
東福岡とアウェイで対戦したこの日のゲームは、前半の早い段階で兼松将と嶋本悠大が得点を重ねたものの、徐々にホームチームが勢いを取り戻し、ボールキープの時間も長く作ったことで、大津は我慢する時間帯が続いていくが、山城監督は思考を巡らせながら『言わないところ』のメリットを優先する。
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