【避難所を考える】「暑くて眠れない…」「腰が…」エアコンがない酷暑の避難所を想定した“全国初”の宿泊訓練 体育館で24時間過ごして見えた課題
山本キャスターは、ウレタン素材のマットで一夜を過ごすことにしました。計測器のデータでは、夜間も体育館の気温は30℃前後、湿度は60%後半から70%台で推移。扇風機の音が体育館中に響きわたり…眠れない様子で、深夜に立ち上がる参加者も多くいました。
午前5時すぎには、一部の参加者が目を覚まし始めましたが、この時点でも、気温は30℃近く。山本キャスターも起床しました。 (山本キャスター) 「暑さによって深く眠ることはできませんでした。腰や首のあたり、ずっと床に接していた、かかとに少し痛みを感じます」 参加者らは、どう感じたのでしょうかー
(参加した大学生) 「夜中は寝られず、1時半とか2時に起きてしまった」 (石巻赤十字病院の看護師) 「足音が伝わってきた。振動など、ほかの人の音が気になって眠れなかった」 (石巻赤十字病院の医師) 「自分たちが思っていたよりも(被災者が)きつい状況で避難されていることが分かったのが一番の学びだった」
■“エアコンなし”避難所体験で見えた課題
望月さんが設置した、暑さ指数計の計測結果はどうなったでしょうか。 緑色は体育館の外、紫色は体育館の舞台の近く、水色は体育館の扉の近くで山本キャスターが寝ていた場所のデータの推移。まず体育館の内部(紫色と水色)で比べると、暑さに差があることが分かります。そして体育館の外のデータを見ると、夜間は内部よりも暑さが和らぐ時間帯がありました。 (望月さん) 「夜はプライバシーの問題もあるが、外で寝られるようなものを準備することも検討事項です」
避難所生活のストレスを減らすには、細やかな配慮が必要なことも分かりました。 (参加者) 「ダンボールベッドの高さだと、扇風機の風は来たけれど、床で寝ていると、扇風機の方が高さが上だから(風が)来ない」 (参加者) 「シャワーを浴びられなかった人もいた。どの人まで浴びたのかが分からなくて、工夫があったらいいのかなと思いました」 もし真夏に災害が起こったら…。備蓄の見直しはもちろんのこと、家族や親族、友人の家など、避難先の選択肢を普段から考えておくことも重要です。
■<取材後記>
「避難所・避難生活学会」の指導の下、番組スタッフも訓練に参加させて頂きましたが、24時間過ごすだけでも、疲労が溜まりました。この状況で被災者が何か月も過ごすことになると考えると、全国で早急に避難所の環境改善を進めなければならないと改めて感じます。 避難所生活を体験したからこそ見えた“ストレス”もありました。こうしたストレスを減らしていく、地道な積み重ねも大切です。このような訓練が全国に広がり、被災者に“優しい”避難所が整備されていくことを願います。 (読売テレビ「ウェークアップ」2024年8月3日放送分を一部加筆・編集)