日銀・黒田総裁会見3月16日(全文1)新型コロナの影響踏まえ、金融緩和を強化
マイナス金利を選ばなかった理由は?
日本経済新聞:日経新聞の【カメイ 00:09:21】と申します。ETFの買い入れを6兆円から12兆円に増やした、倍増されたということですけれども、一方で6兆円の原則は維持しているという、この背景を1点教えていただきたいのと、もう1つは、今朝のFRBの緊急利下げもそうですし、各国が金利を引き下げてコロナに対応しようとしている中で、ECBしかり、今回の日銀もそうですけれども、金利下げではなくて資金供給で対応したと。これはやっぱりマイナス圏にすでに政策金利がある銀行・国とそうでない国とでは、適切な対応っていうのが異なるという意味なのか。マイナス金利を回避というか、今回、選ばれなかった理由を教えてください。 黒田:ETFについては、特に金融資本市場が不安定な動きをしていると。リスクセンチメントが、よりリスクテイクの考え方が非常に弱くなってリスク回避的になっているわけですので、それを防ぐためにETFのほう、買い入れを倍増のペースでやっていくということであります。ですからこれはリスクプレミアムに対する働き掛けとしては、これまでの倍の大きさ、スピードで働き掛けを行っていくということであります。 金利うんぬんにつきましては、それぞれの国のいろんな事情はあると思うんですけれども、現在のわが国の金利、政策金利、マイナス0.1%ですけれども、これは政策金利残高にマイナス0.1%の金利ということですので、基礎残高にはずっと相変わらずプラス0.1%の金利を日銀は払ってますし、それから、マクロ残高には0%、これは状況に応じて拡大してますので、今のわが国のマイナス0.1%を政策金利残高に掛けているということで、これがもう限界でこれ以上できないということはないと思います。さらにマイナス金利の深掘りなりなんなりを行うということが可能だと思います。
中小企業の企業金融に万全を期する
ですから必要があればそういうことをしますけれども、今、必要なのは、やはりこの企業金融について、特に中小企業の企業金融について万全を期するということと、それからマーケットが不安定化し、リスクテイクの考え方が非常に弱まっているということで、リスクプレミアムに働き掛けて、そういうふうにならないようにするという、このこと。それから従来からやってるし、今もさらにやってる、流動性を潤沢に供給する。これは短期から長期までできるわけですので、80兆円をめどにということになってますので、まだまだ必要に応じて幾らでも国債の購入を増やすということもできますし、そういった3つの面で、流動性、円とドル、それから企業金融の円滑な遂行に万全を期すということ。それから市場の不安定化、あるいはリスクプレミアムの拡大を防ぎ、リスクテイクを促進するという、この3つの面でやることが、今の日本の経済、金融にとって最も効果的で、かつ重要であるというふうに考えたのでやったということであります。