日銀・黒田総裁会見3月16日(全文1)新型コロナの影響踏まえ、金融緩和を強化
量的・質的金融緩和を継続
なお、本日の決定会合では、長短金利操作の下での金融市場調節についてはこれまでの方針を維持することを賛成多数で決定しました。日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続します。政策金利については、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる方針であります。 日本銀行としては、本日の金融緩和措置が新型コロナウイルス感染症拡大への政府の各種対策や各国の政府中央銀行によるさまざまな対応と相まって、金融経済活動の下支えに貢献するものと考えています。以上です。
新型コロナの影響は一過性と見ているのか
NHK:ありがとうございます。では幹事社から2つのポイントについて質問いたします。1つは、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に影響を及ぼす期間についてです。先行きについて弱い動きが続くとみられ、感染拡大の影響が和らげば緩やかな拡大基調に戻していくというふうな先行きの見通しになっておりますけれども、コロナウイルスの感染拡大の影響は、やはり一過性の短期的なものであるとみているのか、ハードデータは少ないとは思いますが、一定程度の期間、日本経済に下押し圧力をもたらしうるものなのか、今の総裁の見解をお願いいたします。 黒田:すでに新型コロナウイルス感染症の拡大によって、わが国経済ではインバウンド需要や輸出、生産、個人消費などに影響が見られています。入国者数は中国人訪日客を中心に大きく減少しているほか、輸出も中国向けを主因に減少しています。また、イベントや外出の自粛などに伴い、サービスを中心に消費活動が大きく落ち込んでいます。そのため、今回の会合では景気の現状について、このところ弱い動きとなっているというふうに判断を引き下げたわけであります。 感染が時間差で世界中に広がっていることもありまして、その影響は今後も当面続くというふうに予想しております。もっとも感染拡大自体は各国政府の対策の効果などがあって、いずれは終息すると考えられます。終息することに伴って、抑制されていた需要や各種経済対策の効果も表れてくることが見込まれるわけでして、そうした下、先行き、わが国経済は緩やかな拡大基調に復していくというふうに考え得られます。もちろん、この新型コロナウイルスの感染症拡大の帰趨や、それが内外経済に与える影響の大きさ、あるいは期間については不確実性が大きいため、今後の内外経済の動向にはやっぱり注意していく必要があるというふうに考えています。