養育費の支払い続けるために借金「払う責任は感じているが」…海外では「立て替え払い」「強制徴収」制度も
海外では
夫婦で合意し、役所に離婚届を出せば成立する「協議離婚」が約9割を占める日本に対し、海外では離婚にも裁判手続きが必要な国が多い。子どもが未成年の場合、養育費の適切な取り決めがないと、裁判官が離婚を認めないこともある。不払い時にも公的機関が関与する。法務省の2020年の調査では「立て替え払い」や「強制徴収」の制度があり、韓国やフランスは両方の制度の特徴を持つ。 スウェーデンなどの北欧諸国やドイツが採用する立て替え払いは、公的機関が養育費を公金で立て替えた上で、別居親から回収する。イギリスやアメリカなどが実施する強制徴収は公的機関が別居親の給与などから天引きし、ひとり親に送金する。不払いの親には、運転免許やパスポートの一時停止、裁判所侮辱罪の適用といった厳しい措置が取られることもある。
国内でも、払われない養育費を子どもが受け取れるよう、支援する自治体がある。 兵庫県明石市は22年度から、子ども1人につき月5万円まで、最大3か月分を立て替えた上で、別居の親に請求する事業を実施している。さいたま市も今年度、同様の事業を導入した。ただ、こうした取り組みは広がりを欠いており、住む地域によって得られる支援に差がある。 5月に成立した改正民法の付帯決議では「(日本においても)公的機関による立て替え払い制度などの検討を深める」ことが盛り込まれた。
千葉大教授(社会保障論)の大石亜希子さんは「育児も仕事も一人でこなすひとり親に、強制執行などの裁判手続きまで背負う余裕はない」と指摘。「子どもに毎月、確実に届けるには、海外のように不履行に備えた立て替え払い制度や養育費徴収機関の設立が望ましい」と提言する。
親の責任、愛情の証し
5人の子に月計15万円を払う関西地方の40代父親 習い事や育児方針などを全て元妻と義父母に決められ、疎外感や窮屈さに耐えられず、離婚した。子どもには会わせる顔がないが、満足な人生を送ってほしいから、せめてお金は渡したい。養育費は元妻のためのものではなく、子どもを一人前に育てるためのもの。生活は苦しいが、親としての責任だし、愛情の証しだと思う。
調停の提示額に疑問
元妻と月10万円の養育費を取り決めたという関東地方の40代男性 事実婚を解消し、子ども1人に月10万円を払っていたが、コロナ禍で仕事が減り、今は出せなくなった。自分から別れを切り出したため、調停で示された金額に合意したが、本当は納得していない。相手も働いており、そこまで必要なのかと疑問を感じている。