養育費の支払い続けるために借金「払う責任は感じているが」…海外では「立て替え払い」「強制徴収」制度も
子どもが幼いほど、養育費の支払いは長期間に及ぶ。子どもの権利である養育費が、途切れないようにするために必要なことは何か。
「離婚時が年収のピーク」
関東地方の40代会社員男性は「離婚した時が年収のピークだった」と振り返る。 5年前、養育費の金額の目安を示した裁判所の算定表を基に、子ども2人に月計13万円を支払う取り決めを妻と交わして調停離婚した。
通信機器販売の営業職。2年ほどは順調に支払えたが、収入は営業成績に応じて変動するため、その後のコロナ禍で営業先に出入りできなくなると大きく落ち込んだ。送金が3万円にとどまったり、全くできなかったりして、離婚時に契約した養育費保証会社に立て替えてもらった分を含め、現在までに8か月分を滞納。借金もしながら分割返済を続けているという。 減額を求める調停手続きはあるが、元妻に連絡を入れても取り合ってもらえず、それ以上、行動する気になれずにいる。「払う責任は感じているが、今の自分に13万円は大きすぎる」
交渉 支援があれば
「払って当たり前だと思うものの、現実は大変」 2年前に離婚し、娘に月16万円を支払う東京都の会社経営の40代父親も、そう語る。 離婚時、元妻に公正証書の作成や養育費保証会社との契約を求められた時は「信用されていないのか」と複雑な気持ちを抱いたが、その後に再婚すると「目の前の生活費に比べて、支払いの優先度が上がらない」ことを身をもって知った。もちろん娘への愛情はあるが、「契約で固められているから払い続けられる面もある」と実感する。
周囲の離婚経験者には自営業の人や中小企業で働く人もいる。収入が不安定で、生活が厳しい時期に養育費を払えなくなり、「次第にそれに慣れてしまうように見える」。払うか払わないかの二択だけでなく、「例えば『利子をつけて後払いする』など父母間の交渉をサポートしてくれる公的な相談窓口があれば、支払う人も受け取れる人も増えるのでは」と投げかける。