【RIZIN】平本蓮と朝倉未来は「陰性」──禍を転じて榊原CEOが起ち上げる「新RIZINアンチ・ドーピング・プログラム」が見据える未来とは?
◆「プロモーターとしての立ち位置から逸脱するが、朝倉未来が不憫でならない」
榊原CEOは、今回の騒動のなかで引退表明した朝倉未来に対しては、「ここは個人的な、プロモーターとしての立ち位置から逸脱する可能性があるんですけれど」と前置きし、忸怩たる思いを吐露した。 「2015年に旗揚げして朝倉未来がRIZINに出場して6~7年。RIZINの中で彼の活躍に一喜一憂し、彼の戦いに心を震わせた、7月28日も4万8千人のファンがあれだけの熱狂の中で朝倉未来の試合を見届けたわけです。 彼は格闘家としても人生を懸けて、引退を懸けて戦った試合が心無いこと、ドーピング疑惑で泥を塗ってしまったこと、汚してしまったこと。これが引退試合だと言うのは本当に悔しいです。未来が不憫でなりません。本当に悔しい。だからこの結果を招いたことは、全てにおいて最終的には主催者である私の責任だと思っていますし、この場を借りて朝倉未来にはこれが最後の試合になったことにはお詫びもしたい」と、ときに声を震わせながら謝罪した。 ◆罰則強化と意識改革、そして全結果公表と抜き打ち検査 今回の騒動は、ファンにファイトスポーツへの不信感を抱かせる出来事だったが、日本格闘技のアンチドーピングを、大きく前進させるきっかけになるかもしれない。 榊原CEOは、「当日の検査だけでは中立が保たれない、公明正大に行われない、選手の意識が高まらない、ということであれば抜本的なルールを見直す。当然、経済的な負担もマンパワーもかかると思いますが、中立で独立した組織体系でないといけないので、一定の決意と経済的な負担は当面RIZINがさせていただく中で、これまで以上に検査体制を厳しくする。そういう形のドーピング規定の見直しと新しいドーピングポリシーの策定に入ります」と宣言する。 新しいドーピングポリシーは、具体的には罰則の強化による選手の意識改革。そして今後、検討されるのが王座戦以外のドラッグテスト結果の公表と、大会日以外の“抜き打ち検査”の実施だ。 実際、RIZINでは、すでに出場選手の1/3からランダムに尿検査を行い、ドーピングチェックで「陽性」反応があった選手には、程度により罰則や以降の出場停止処分も行ってきた。その全選手の結果を、契約を変えて開示していくことも今後は検討される。 「やはり辱めを受けるということが、選手のドーピングに対する意識を変えさせることになるのであれば──選手たちの未来を考えて今までは非公開にしていますが、──これからはサスペンドの期間も考え直すべきだし、経済的な罰則も見直すべきだと思います」と、榊原CEOは言う。 そして「抜き打ち検査」を少しでも増やすことが抑止力に繋がるのでは、という本誌の問いにも「検討する項目のひとつで、除外することはないです。抜き打ち検査もやっていきたい。先生方を中心に何か方法論を考えてやれたらいいかなと思います」と前向きだ。
【関連記事】
- 【RIZIN】平本蓮がトレーナーに勧められ自分で注射を行った行為について医療部長「日本では医師以外で注射行為は出来ないですし、信じられない話だと思っています」
- 【RIZIN】医療部長がドーピング検査について説明、検査結果の隠ぺい・捏造の可能性を否定、血液検査については「検体の9割は尿検査」
- 【RIZIN】使用した薬と使用しなかった薬──平本蓮「僕は(ドーピングが)無くても全然勝てるタイプ」
- 【RIZIN】新井丈、2週連続“道場破り”の心直とのスパーリングの真相を語る「ここが落としどころだなって」
- 【DEEP】雨中で空手が活きた──西谷大成からダウン奪い、一本勝ちした海飛「腰を入れずに空手の基本稽古の動きで戦った」「誰もやりたがらないシェイドゥラエフと戦いたい」