【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第21ステージ】ポガチャルが独占した3週間が、華やかに幕を下ろす。「ファンタスティックなジロだった。すべてが素晴らしい経験だった」
「実は調子はそれほどよくなかった。チーム列車にさえついていけなかった。だからちょっとギャンブルを打ったんだ。幸いにも石畳のスプリントには慣れていた。もしもトップスピードで石畳に突入すれば、他の選手たちは、簡単には僕を追い越せないだろうと分かっていた」(メルリール)
毎冬シクロクロスで鍛え、今春には石畳セミクラシックのノケーレ・コルセで3連覇を果たしたメルリールは、イタリアの石畳でも巧みに立ち回った。最終コーナーへ外側から突っ込むと、ラスト250m前後、アスファルトから石畳に変わった瞬間に全速力でトップへと躍り出た。後は目論み通りに事が運んだ。メルリールはそのままフィニッシュラインを先頭でさらいとった。
肝心のミランは、すかさずメルリールの後輪に滑り込めた。ところが猛烈な追い上げで脚を使ったせいか、あと一歩の伸びが足りなかった。メカトラに、ポイント減点、スプリント2位、さらにはマリア・チクラミーノ表彰式でスプマンテの大瓶を落としてしまう……という不運続きの最終日だった。
「今大会のベストスプリンターは果たして僕か、それともミランか。それを決めるのは僕ではない。それに僕としては、今日の勝利も、他のレースの勝利と同じ感覚だ。でも家に帰ったら、実感するのかもしれない」(メルリール)
第3ステージで大会最初のスプリントステージを制したメルリールは、実は2021年ジロでも、2021年ツールでも、スプリンターとしては同大会で真っ先に両手を挙げている。ただいずれも途中で帰宅した。つまりは今ジロで生まれて初めて、最終ステージの勝負に真っ向から挑んだことになる。すでに19日目に人生初めての「グランツール区間2勝目」を得た31歳は、この日、ミランに区間3勝で並ぶと共に、「グランツール最終ステージ勝者」の栄誉さえも手に入れた。
またメルリールの所属チーム、スーダル・クイックステップは、大会の終わりにジュリアン・アラフィリップのスーパー敢闘賞も祝った。第12ステージで勇敢な大逃げ勝利を成し遂げた上に、連日の飛び出しで、惜しみない努力を披露した。ちなみに10人以上の逃げはカウントされないフーガ賞では3位490kmだが、実際に逃げた距離は764kmとのこと。
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