【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第21ステージ】ポガチャルが独占した3週間が、華やかに幕を下ろす。「ファンタスティックなジロだった。すべてが素晴らしい経験だった」
もちろんグランツール最終日の平坦ステージは、大集団スプリントで締めくくられる運命にある。しかも2024年に限って言えば、初日にスプリントを予定するグランツールが皆無で、ツールもブエルタも最終日はタイムトライアルだから……このジロ最終日だけがスプリンターにとっての希望なのだ。スプリンターチームは力を惜しまず集団制御に励み、フィニッシュ手前13kmで、邪魔な4人を早々に回収した。
……と、ラスト9km、まさかの事態が発生する。今大会のスプリントフィニッシュ6回のうち3回を制し、4日目の終わりから「キング・オブ・スプリンター」の証マリア・チクラミーノをまとい続けてきたジョナサン・ミランが、運悪くメカトラに見舞われてしまったのだ。
「残り1周でチェーンが壊れて、バイク交換を余儀なくされた。その後はひたすら全力だった。プロトン復帰のために全力を尽くし、その後もスプリントのために全力を振り絞った。だって、この最終ステージは、大きな目標だったから」(ミラン)
プロトンのスピードはすっかり上がりきっていた。新しいバイクで再スタートを切ったミランは、55秒もの遅れを無我夢中で埋めにかかった。チームカー隊列をすり抜け、時にはルールで許容されているよりも長く、車の後ろに留まった。そのせいで罰金200スイスフランにUCIポイント15点減点、マリア・チクラミーノ用ポイントさえ15点の減点処分が課されてしまうことになる。それでも残り4km、奮闘実って集団復帰を成功させた。さらには集団で待機していたチームメイトに導かれ、残り1.7km、ミランはプロトン最前列へと競り上がる。
クレイジーすぎるほどのフィナーレは、しかし一筋縄では行かなかった。いまだ今大会「初」勝利を追い求めるスプリントチームが、最後のチャンスを逃すまいと、がむしゃらに先頭を奪い合った。マリア・ローザ姿のポガチャルさえも、同僚フアン・モラノのために、熾烈な位置取り合戦に挑んだ。たくさんのカーブとシケイン、そして石畳が、カオスをいっそう色濃くした。
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