安野貴博(AIエンジニア)に田原総一朗が直撃 政治はAIで変わるのか?安野は次の選挙に出るのか?
2024年7月の東京都知事選挙で、彗星の如く現われた長髪のAIエンジニアが躍進した。テクノロジーを武器とした弁舌がYouTube動画やテレビのニュースショーで大いに話題となり、なんと15万票以上を獲得したのだ。AIのイノベーターが、なぜ泥臭い政治の世界にチャレンジしたのか。日本のAI革命は今後どこに向かうのか。前後編にわたって、田原総一朗がトコトン問う。 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カット
AIエンジニアがなぜ都知事選に?
田原2024年7月、安野さんは東京都知事選挙に初出馬し、いきなり154,638票も獲得して話題になりました。小池百合子さんが2,918,015票(得票率42.8%)、石丸伸二さん(元・広島県安芸高田市長)が1,658,363票(24.3%)、蓮舫さんが1,283,262票(18.8%)、田母神俊雄さん(元・自衛隊航空幕僚長)が267,699 票(3.9%)を取った中、2.3%の得票率で5位につけたのは大健闘と言っていいと思います。 都知事選に出馬する前の安野さんは「星新一賞」を取ったり(2019年)、「ハヤカワSFコンテスト」で優秀賞を取ったりと(2021年)、SF小説の世界で活躍してきました。 実は僕は、学生時代に作家志望だったんですよ。同世代の石原慎太郎や大江健三郎の小説を読んだら「自分には文才なんてまったくない。彼らにはかなわないな」と思って、作家になるのをあきらめました。 そんな僕から見ると、賞を連続して取ってきた安野さんは、このまま作家業を続けりゃいいのにと思う。なぜ都知事選にチャレンジしようと思ったんですか。 安野私は小説執筆以外にも、これまでAI(人工知能)のエンジニアや起業などさまざまな仕事に手をつけています。まわりから見れば「安野はバラバラなことを手当たり次第にやっている」と見えるかもしれませが、私の中では作家業も起業もAIの仕事もある意味でやっていることは同じなんです。 田原AIの仕事と都知事選のどこが結びつくんですか。 安野小説執筆もAIも政治も「テクノロジーを使って未来の社会がどうなるかを考える」という一点で共通すると思うのです。 コンピュータでソフトウェアを作るときも新しい事業を立ち上げるときも、未来の社会がどうなるか空想してSF小説を書くときも、脳みその筋肉の使い方は一緒なんですよ。 政治家の皆さんを見渡してみると、テクノロジーを利用して未来を描くビジョンをもっている方は、ほとんどいらっしゃいません。「私の脳みその使い方は政治で社会を良くすることに役立つんじゃないか」と思って、今回都知事選にチャレンジしました。