安野貴博(AIエンジニア)に田原総一朗が直撃 政治はAIで変わるのか?安野は次の選挙に出るのか?
テクノロジー音痴の永田町の政治家
田原実際に選挙にチャレンジしてみてどうでしたか。 安野政治の世界がそもそも新陳代謝しにくい仕組みになっていることを、選挙をやってみて痛感しました。選挙で勝つためには3バンが必要だと言われてきました。地盤(後援会や支持基盤)、看板(肩書きと知名度)、カバン(政治資金)の三つです。 田原日本の政治家、特に自民党の国会議員はほとんどが世襲だらけです。おじいさんや父親から3バンをそのまま引き継げば、確実に選挙に勝てます。 安野ビジネスをやってきた経営者や起業家、民間で活躍してきた人が政治家に転身しても良さそうなのに、政治への参入障壁はあまりにも高いです。 田原アメリカはケネディ一家をはじめ世襲政治家が目立ちますが、ヨーロッパ諸国では世襲ではない政治家がずいぶん活躍しています。 安野そこが日本の政治の問題です。外部の人が政界に入っていこうとするときに参入障壁がものすごく高いため、民間のテクノロジーも息吹も政治に生かされない。これではいけません。 私は以前、デジタル庁のお手伝いをしていたことがあるんです(デジタル庁・デジタル関係制度改革検討会の委員)。大変残念なことに、今世界の最先端でどういう技術が存在し、どんな技術開発が進んでいる真っ最中なのか、いま政界のリーダーの皆さんは知りません。基本的な知識が欠如しているのですから、最新の技術を使うという意思決定ができるわけがないのです。リーダー側の深刻な問題を解決するためには、自分が選挙に出て権力を握るのが一番近道だと思って選挙に出馬しました。 選挙戦を通じて私が訴えたのは、テクノロジーをもっと使うべきだということです。4年に1回しか実施されない選挙に頼っているだけでは、民主主義はいつまでたっても成熟しませんし、テクノロジーは社会に実装されません。 今はインターネットもSNSもAIもあるのですから、それらを使いながら解像度高く民意をスキャン(読み取り)し、センシング(検知)する。そこから政治家が新しい政策をバンバン打ち出していくべき時代だと思うのです。