【詳説】きらぼしFG「オープンイノベーション」、有力企業との連携が加速「提案ピッチ」とは?
オープンイノベーション「提案ピッチ」の開催経緯とは?
FINOLABのメンバーにきらぼし銀行が2023年より加わったこともあり、創業支援やスタートアップのサポートの窓口となるSS部とFINOLAB運営チームとの間で共同イベント開催についての検討を進めてきた。そこで、単なるスタートアップによるピッチではなく、きらぼしグループに対する提案を行うことを主眼としたイベントを開催することについて合意に至った。 FINOLABにおける予備審査を経て10月21日に最終ピッチが開催され、きらぼしグループ内からは、デジタル戦略部やSS部といった関係部署に加え、UI銀行やきらぼしテックなどの戦略子会社の経営メンバーが参加した。 募集テーマ 「きらぼしグループの中期経営計画に沿った協業プラン」をメインテーマとして、以下の条件を設定して提案への応募を呼びかけた。 ・要件 デジタル技術を活用するもの ・詳細テーマ きらぼしグループの金融サービス利便性向上 高度化に資するもの UI 銀行のBaaS 推進に資するもの その他、きらぼしグループのデジタル戦略の具現化に資するもの 選定プロセス 募集対象はフィンテックコミュニティとして実績のあるFINOLABのメンバー及び投資先、さらには紹介先のスタートアップとなっており、一次審査を応募書類によってきらぼしグループとFINOLABの事務局による協議によって行い、最終候補となる6社を選定した。 当日の10月21日は、大手町のFINOLABイベントスペースで最終候補となった各社の提案ピッチを行い、きらぼしグループの役員等関係者3名とFINOLABのメンターグループであるFINOVATORSからの2名で構成された審査員の協議によって、審査が行われた。 登壇した最終候補者 金融機関に対して直接提案の機会を得られるということもあった、多数の応募者の中から最終提案に残った6社の顔ぶれと提案内容は以下のとおりである。 各社応募タイトル及び当日のピッチ内容より (作成:FINOLAB) 受賞企業 提案ピッチを行った最終候補6社より、きらぼしグループとして最も経営ニーズにあった提案としてナッジの「若者に向けた安心・安全で、楽しい金融体験の提供」がきらぼし賞を受賞した。 首都東京をメインマーケットとしながらも、10~20代の若者に対する訴求力の強化を課題と感じていたきらぼしサイドの課題に対し、ナッジが若者に使いやすいようにカードの商品性を向上させ、「推しカード」などZ世代のライフスタイルに呼応したプロダクト展開を行ってきた実績をもとに解決策を提示した点が評価された。 きらぼし賞は、賞金に加えてきらぼしグループと協業についての検討、グループ主催のピッチイベントへの登壇、KicSpace HANEDA利用権1年分といった特典が授与された。 その他の提案それぞれについても、グループ内での具体的な活用イメージが提示された。審査員の意見もかなり分かれ、協業候補として推された先も複数あったものの、最終的には今後アピールしたい顧客層という観点が審査の決め手となった。 また、AI Samuraiが提案した「子供発明銀行」に対しては、きらぼしグループとの協業に関する短期的な実現性の評価が難しいとされた。一方で、子供の自由な発想に未来を託そうという提案アイデアの独自性とあわせて、AIを活用して特許出願を行うという技術的な先進性が評価されて、審査員特別賞が贈呈された。