「空想している時間は“脳汁”が出ます」―― レイトン、妖怪ウォッチの作者・日野晃博の創造性
空想しているときの1時間は1分の感覚
──どんなときにおもしろさややりがいを感じるのでしょうか。 自分が何かつくって、身近な人にみてもらい、いいとか悪いとか言ってくれるときが一番楽しいですね。やりがいについては、自分で考えたり、ものを書いたりと空想しているときです。一番アドレナリンが出ていると思います。いまでもそうですが、空想したり書いたりしていると集中しているから1時間が1分のように感じるんです。“脳汁”が出ているんでしょうね。 ──そんなふうにつくったのはどの作品でしょう。 自社のゲームは全部愛着ありますが……、なかでも「レイトン教授」の2作目、3作目かな。まだゲーム開発に入る前、自分でシナリオを集中して書いていて、これはいいのができたと思えたんです。3作目のシナリオを書いているときは、自分で物語に感情移入して涙まで流していました。でも、そのとき「こういう感じで満足してものづくりをできるときがあるんだ」と深く感じるものがありました。 ──今年はコロナ禍の巣ごもりでゲームを楽しむ人も増えたように思います。作り手としてはどんな感慨ですか。 コロナ禍が続くなか、「鬼滅の刃」が映画やアニメ、コミックで大ヒットしていますよね。あれを見ていると、いいクリエイティブがあれば、人は集まるんだなと思います。飲食のように厳しい業界もあります。でも、われわれのようなものづくりをする業界は、いい作品をつくるしかない。それはこの年の終わりに思うところですね。
森健(もり・けん) ジャーナリスト。1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、総合誌の専属記者などを経て独立。『「つなみ」の子どもたち』で2012年に第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞、『小倉昌男 祈りと経営』で2015年に第22回小学館ノンフィクション大賞、2017年に第48回大宅壮一ノンフィクション賞、ビジネス書大賞2017審査員特別賞受賞。公式サイト (写真は一部を除き、レベルファイブ提供)