なぜ酒井宏樹は浦和レッズ移籍を決断しチームは推定移籍金2億円を払ってまで獲得を決めたのか?
あらためて振り返ってみれば、9年ぶりにプレーするJリーグへ、そして新天地の浦和へもすぐに順応できる――という自信が込められた言葉だと思えてならない。 マルセイユとの契約を残す酒井の獲得には移籍金も発生して、フランスメディアは150万ユーロ(約2億円)だと報じている。昨年から続く新型コロナウイルス禍で大幅な減収を余儀なくされ、2020年度決算で約6億1200万円の赤字を計上した浦和が支払う、決して低くはない額の移籍金には酒井にかける期待の大きさも反映されている。 浦和での背番号は、マルセイユに続いて「2」に決まった。Jリーグの夏の登録期間は7月16日にスタートするため、同10日の大分トリニータ戦をもって東京五輪開催に伴う中断期間に入る浦和でのデビューは、最も早くてJ1リーグ戦が再開される8月9日の北海道コンサドーレ札幌戦(札幌ドーム)となる。 新天地デビューの前に、浦和の一員として臨む東京五輪が待つ。22歳で出場し、4位に入った2012年のロンドン五輪に続き、今度はオーバーエイジ候補として招集されたことに「正直、驚きました」と振り返った酒井は、浦和加入が発表される直前に対応した10日のオンライン取材で、自身の経験を踏まえながら覚悟と決意を語っている。 「僕がロンドン五輪を目指していたときも、オーバーエイジの選手が入ってくることを100%歓迎していたかと言われればちょっと違っていた。今回もそういう選手たちが少なからずいると思うので、その意味ではすごくプレッシャーを感じています」 同じくオーバーエイジ候補で招集されたDF吉田麻也(サンプドリア)、MF遠藤航(シュツットガルト)も抱く思いは変わらない。だからこそ、24歳以下の若い選手たちと積極的にコミュニケーションを取り、濃密な経験を伝える作業も欠かさない。 母国開催のヒノキ舞台でメダル獲りを目指すU-24代表を、ピッチの内外でけん引する存在だと証明する意味でも、代表メンバー発表前で最後の一戦となる12日のジャマイカ代表との国際親善試合(豊田スタジアム)にすべての神経を集中させる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)