指がない私の右手は魔法の手…名付けて「ぐーちゃん」 先天性四肢障害の女性が発信する日常 「障害の話をタブーにしない社会」を願って
“障害の話”をタブーに扱いしない社会になってほしい
「いろいろな考えの方がいらっしゃると思いますが、私は障害を“触れてはいけないタブー”とせず、気軽に話題に出せる社会になってほしいと考えています」 のぞみさんがそう思うのは、健常者の友人に障害の悩みをどこまで相談していいのか悩んだり、片手が塞がるなどの助けが欲しい時に相手の様子を気にしたりしてしまうことがあったからだ。 「自分では気にならないことを健常者の友人が気遣ってくれて、気まずくなったこともありました」 自分自身も違う障害を持つ友人と関わる時には、「どんなサポートをしたらいいのだろう」と考えることがある。だからこそ、優しい気持ちがすれ違い、互いに寂しい思いをしないためにも障害の捉え方や受け止められ方が少しずつ変わってほしいと、のぞみさんは思っている。 また、先天性四肢障害児やその親がそれぞれ気軽に悩みを話せ、一緒に外出も楽しめるような集まりができることも、のぞみさんの願いだ。 「最近、初めて同じ障害の子とテーマパークに行けて楽しかった。同じ障害だからこそ、分かること、気を遣わなくてもいいことがたくさんありました。私は今まで同じ障害を持つ人に出会えず、仲間は本当にいるのかなと心細さを感じてきたので、当事者間の交流が盛んになってほしい」 当事者同士ならば、障害者割引が使える施設で障害者手帳を出すハードルも高くなりにくい。そうした安心感は、当事者の孤独を和らげることにも繋がるはずだ。 「私は、ひとりひとりの存在自体が発信だと思っています。よく、『SNSで発信をしたいけど勇気が出ない』という相談をいただくのですが、生きる中で色々な人と関わること自体が“発信”。同じ障害の方は、みんな発信仲間だと思っています」 そう話すのぞみさんの優しさと強さに触れると、誰かの障害に向ける視線が温かいものになるはずだ。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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