指がない私の右手は魔法の手…名付けて「ぐーちゃん」 先天性四肢障害の女性が発信する日常 「障害の話をタブーにしない社会」を願って
自分の日常を同じ障害を持つ親御さんに届けたい
また、大学生の頃に経験した児童発達支援センターでの教育実習も生き方を変えるきっかけになった。 実習中、障害児の親と関わる中で、のぞみさんは親側が抱く「我が子の未来への不安」を知り、何かしたいと思うように。そこで、自身の日常をSNSや動画で配信し始めた。先天性四肢障害の子を持つ親に前向きな気持ちになってもらいたいと考えたからだ。 動画では、ヘアアレンジの仕方やリボンの結び方など同じ障害を持つ人が日常生活の中で役立つと感じる工夫も公開。 先天性四肢障害の子を持つ親からは感謝の言葉や、「うちの子もできました」という報告が寄せられている。 「バッシング受けたらどうしようと考えていたけれど、発信してみたら温かい言葉が多くて嬉しかったし、自信に繋がりました。日常生活で役立つ工夫の情報交換ができるのもありがたいです」 正直、自身の障害について悩むことはまだ多い。すれ違った人の心ない言葉に傷つく日はあり、夜中に気持ちが落ちる「ぐーちゃんイヤイヤ期」も訪れる。 だが、障害はずっと付き合っていくものであるからこそ、モヤモヤした時には「今日は悩む日」と決めてとことん心と向き合い、翌日には気持ちを切り替えるなどして自分の機嫌を取っているそう。 「障害に関する悩みは人によって違い、その人にしか分からない痛みだってある。障害がある自分をすぐに受け入れられなくてもいいと私は思います。各々が自分に合う向き合い方を見つけられたらいいですよね」 現在、のぞみさんは知的障害者のグループホームに勤務。利用者の介助や部屋の掃除、食事の支援などを行っている。周りの人に助けられた経験から自分も障害に関係がある仕事に就きたいと考え、今の職場を選んだ。 「利用者さんの安全を確保することが一番大切なので、体を支えるなどの難しい業務は一緒に働いている方にお願いしています。助け合いや配慮があり、とてもありがたいです」 小さな頃からアイドルやドラマを見るのが好きだったという、のぞみさん。将来の夢は、俳優として活躍すること。 自由に発信をしたいとの思いがあるため、事務所には所属しないフリーの俳優を目指し、演技レッスンに取り組んでいる。