「お母様の居場所は、教えられません」病院スタッフの回答に愕然…母と長女の面会を阻止する長男の〈密かな策略〉
現時点でできる法的手続きとは?
また、弁護士からは、現時点で可能な法的手続きについてもアドバイスがありました。 ●話し合いが可能なら、まずは「親族関係調整調停」を申し立てることが考えられる ●調停での話し合いがうまくいかない場合や、そもそも調停での話し合いが難しい場合などは、妹が母親に会える権利を前提とした、兄に対して「侵害行為の妨害排除請求」、または「妨害予防請求」の裁判を申立てることが考えられる ●ただし、裁判には時間がかかるため、上記の「妨害排除請求」または「妨害予防請求訴訟」を申立てることを前提として、仮地位の仮処分を申立てることが現実的だといえる ※仮処分とは、訴訟での解決をまっていたのでは権利を保護することなどが難しい場合に暫定的に権利を認めるもので、訴訟に比べて手続が早く進み、訴訟で実現するのとほぼ同様の請求を実現できるというもの。実際に母親に会わせてもらえない子どもが申し立てて仮処分が認容されているケースもある
泣き寝入りか?プレッシャーをかけるか?
筆者はこれまでも、今回の山田さんのケースのように、親のそばにいるきょうだいが「親の面倒を見る」という名目で親を囲い込み、ほかのきょうだいに居場所を教えない、会わせない、財産の内容も共有しない、といった行動をとり、結果的に親の財産を使い込むといった実例をいくつも見ています。 そのような行動に至る理由は、多くの場合「財産の独り占め」が目的だと推察されます。山田さんも以前の状況を振り返り「経営者の父が亡くなったころから、兄が親の財産を独り占めする前提で動いていたように思います」といっていました。
まずは内容証明郵便で反応を見る
山田さんはとにかく母親が生きているうちに面会できることを願っており、時間をかけるのは避けたいと考えています。そこで、提携先の弁護士からは、下記のようなアドバイスがありました。 ●まずは兄に連絡し「母親に会わせることを許可しないと、弁護士に依頼して調停する」と伝える ●その際、同時に「娘を母親に面会させないのは認められないことである」と通知し、そのときの反応によっては内容証明郵便を送付する ●それでも拒絶する場合は、いよいよ弁護士に依頼して調停へ ※兄の指示に従って、山田さんと母親の面会を拒絶する施設側にも、同様の通知を出す 母親が存命のうちに会いたいと子どもが思うのは当然のことです。筆者は山田さんと母親の面会が実現するよう、これからもサポートを続けていくことになります。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子