「お母様の居場所は、教えられません」病院スタッフの回答に愕然…母と長女の面会を阻止する長男の〈密かな策略〉
「ご長男に口止めされており、お母様の居場所は教えられません」
その後、たまに母親と電話で連絡を取り、1年に1度ぐらいの割合で、実家近くに出向いては、母親とだけ交流する日々を過ごしていました。 「久しぶりに母親に連絡を取ろうとしたら、電話がつながりませんでした。心配になって実家の近所に暮らすいとこに聞いたら〈えっ、知らないの? おばちゃん、お風呂場で転んで、隣町の総合病院に入院しているはずだよ〉と…。ただ、いとこも兄から〈母が家に戻ったら連絡する〉とだけいわれて、くわしくは教えてもらっていないそうなのです」 山田さんはその数日後、時間を作って郷里に向かい、いとこから聞いた病院を訪ねましたが、すでに退院しているといわれてしまいました。 その後どうしたのかと病院のスタッフに尋ねると、「ご長男に口止めされており、お母様の居場所は教えられません」と木で鼻をくくったような対応です。山田さんが「私は実の娘ですよ!」といって食い下がっていると、そこに母親と山田さんのことを知っている看護師が通りかかり、施設名を教えてくれました。 山田さんはその足で、すぐ施設へと向かいました。 ところが今度は施設の担当者から「ご長男から〈会わせてはいけない〉といわれているため、ご面会いただくことはできません」といわれてしまいました。腹を立てた山田さんは、その場で兄に電話をしたところ、「おふくろとは会わせない」の一点張りです。施設からも追い出されてしまい、山田さんはあきらめ、その場を引き返しました。 これが、2年前の出来事でした。 「母はもう高齢で、いつなにがあるかわかりません。生きているうちに、母ともう一度会いたいのです…」
兄に妨害され、母親に会えない…弁護士の見解は?
このような話になると、弁護士の対応となります。筆者はその場で提携先の弁護士法人に確認し、アドバイスを求めました。回答の主旨は、下記のようなものでした。 ●実の娘が母親に会う権利があるかどうかは、母親の意思や状況にもよるが、母親が高齢で介護が必要な状態にある場合、子どもが必要な介護をするために面会交流を希望することは当然である ●あきらかに母親の意思に反していたり、母親の平穏な生活を侵害する虐待があったり、母親の権利を不当に侵害するものでない限り、子どもは母親に面会する権利がある ●つまり、妹を母親に会わせることが、母親の権利を不当に侵害するものでない限り、母親に会わせないという兄の行為は、妹の権利を侵害する行為にあたる可能性がある