伝統校・歴代トップクラスの逸材登場! 早稲田実左腕・中村心大、ケガから完全復活を実感させる164球完投勝利【24年夏・西東京大会】
<第106回全国高等学校野球選手権西東京大会:早稲田実業 6-4 明大八王子>16日◇3回戦◇スリーボンドスタジアム八王子 【トーナメント表】西東京大会 16日までの結果一覧 早稲田実業が初戦から強豪・明大八王子と激突。マウンドに登ったのはエース左腕・中村 心大投手(2年)だった。3月に左ヒジを痛めた影響で、復帰したのは6月。和泉 実監督が「実力は来年の西東京を代表する左腕になる逸材」と評するように、強豪校相手の練習試合でも多くの三振を奪うほどの実力を持っていた。この試合は中村が本格復帰。軸となって勝利した一戦だった。 実際に中村が投げ込むストレートは高校2年生左腕としては一級品だ。177センチ83キロとがっしりとした体型をしており、右腕のグラブを高々と掲げ、真っ向から振り下ろす投球フォームから繰り出すストレートはかなり力強い。最速は自己最速の143キロにあと2キロ迫る141キロを計測し、ほとんどのストレートが130キロ後半だった。120キロ後半のカットボールの切れ味も鋭く、早稲田実業の左腕でこれほど能力を持った投手はなかなかいない。 東京どころか、関東地区でも好投手として推していい逸材だ。 3回まで完璧な投球だったが、4回に3点、5回に1点を取られ、計4失点。中村は「変化球に頼ってしまい、いつものと違う攻めをしてしまい、腕が緩んでしまった」と悔やむ。6回以降からは打者がわかっていてもストレート主体の投球でねじ伏せた。最終的には163球を投げて、12奪三振、4失点完投勝利だった。10回を投げたのはこの試合が初めて。復帰してからの練習試合の最長イニングは4回だった。和泉監督は「投げさせる結果になってしまいました。今日勝たないと4回戦以降の戦いはなくなってしまうのと、この展開だと中村以外投げさせる投手がいませんでした。とはいえ、今後の戦いは彼との疲労を考えながら、登板を考えていきます」と控え投手の奮闘を期待していた。 憧れの投手は今年のドラフトの目玉・金丸 夢斗投手(関西大)。投球映像だけではなく、インタビューもみて、金丸の姿勢を学んでおり、「力感がなく、あれほどのストレート、変化球を投げられるので、自分もまだ力んでしまいますが、それができる投手になりたいです」と語った中村。10回になっても、ストレートの勢いは全く衰えていなかったので状態はかなりいい。 9年ぶりの甲子園出場を狙う早稲田実業にとっては投の切り札・中村をどう使うかが鍵となりそうだ。