【デイリー杯2歳S】ランフォーヴァウを重賞初制覇させた福永調教師の緻密な戦略
◆第59回デイリー杯2歳S・G2(11月9日、京都・芝1600メートル、良) 2重賞が9日に行われ、第59回デイリー杯2歳S・G2(京都)は単勝1番人気のランフォーヴァウが重賞初Vを決めた。この日の3Rで2年連続2度目のJRA年間100勝を決めた坂井のリードで完勝。 【データで見る】ランフォーヴァウの血統、戦績 必死に末脚を絞り出した。ランフォーヴァウが好位直後で迎えた最後の直線入り口。前が開くと、坂井は早々と手綱を動かした。そして、ラスト1ハロン手前で左ステッキ。その後は外のドラゴンブースト(2着)に詰め寄られたが、脅威を振り払うように右へ左へステッキを持ち変え、懸命に鼓舞した。最後まで勢いを失わず、半馬身差で飛び込んだゴール板。未勝利からの連勝で、重賞初タイトルをつかんだ。 「折り合いもつきましたし、直線で抜け出す脚もすごく速かった。少し詰め寄られたが完勝でした」と坂井。2年連続の年間100勝を3Rで決め、この日3勝目となった鞍上を笑顔で出迎えたのが福永調教師だ。「完璧にエスコートしてくれた。本当に良かったよ」。 ホッとした表情には理由がある。この馬は今年5月の“千葉セリ”で自らの目で選び、窪田芳郎オーナーに購入(落札額4100万円)を進言した。指揮官は「軽さがあったからね。案外見る目あるな」と笑う。今回は1週前の段階で登録頭数が少ないと聞き、来週の赤松賞への予定を前倒し。緻密な戦略も光り、“答え”をしっかり出した。 騎手と調教師の両方での制覇となったトレーナーは「最後は詰め寄られたし、マイルがギリギリかな」と冷静に分析しながら、阪神JFへの参戦を視野。自ら発掘したダイヤの原石を大切に磨きつつ、2歳女王への階段を駆け上がっていく。(山本 武志) ◆ランフォーヴァウ 父ロードカナロア、母キネオダンサー(父ディープインパクト)。栗東・福永祐一厩舎所属の牝2歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算3戦2勝。総獲得賞金は4376万6000円。重賞初勝利。馬主は窪田芳郎氏。
報知新聞社