小椋藍、悲願モト2王者へ大きく前進 今季2度目のPP「できることなら表彰台に立って格好良く決めたい」【WGP】
◇WGP 第18戦 タイGP ロードレース世界選手権 予選&スプリント 26日 チャンインターナショナルサーキット ペン&カメラ=遠藤智 モト2クラスのランク首位を走るMSIの小椋藍(23)が、念願の初王座へ大きく前進した。プレッシャーを全く感じさせない伸び伸びした走りで、今季2回目のポールポジションを獲得。5位以内なら自力でタイトルを決められる27日の決勝へ「できることなら表彰台に立って格好良く決めたい」と色気を見せつつも、「いつも通り、自分の限界で走るだけ。それが一番安全だと思う」と“平常心”を強調した。 相次ぐトラブルに見舞われた初日から一転、この日の小椋は絶好調だった。エンジンを載せ替えて臨んだ午前の練習走行2回目は「普通に走れた」と快調にラップを重ね、チャンインターナショナルサーキットのオールタイムラップレコードを更新。総合首位で臨んだ午後の予選Q2では再更新こそならなかったが、強さを見せつけた。 序盤に1分34秒728をマークし、暫定トップに。最終盤のアタックは多くの選手にマークされたため途中で断念したものの、タイムを塗り替えられることはなく、「1回目のアタックでいいタイムを出せて、ポールを取れてよかった。(27日の)決勝にいい形で臨める」と静かにほほ笑んだ。 周到な準備が実った今季2回目のポールだった。7月に父の正治さんと当地を訪れて2日間の合宿を敢行。ホンダチームアジア時代の同僚であるソムキアット・チャントラの紹介で現地チームに世話になり、1000ccの市販車バイクを走らせた。自ら市販車を購入して6月に2度のスポーツ走行を行ったモビリティリゾートもてぎ(第16戦日本GP=2位)と同様、タイトル争いで終盤の勝負どころと見た先見の明が光る。 この日から正治さんと、姉でオートレーサーの華恋さんが現地で応援。タイでは熱帯特有のスコールに振り回されたことも多いだけに、2人は「お願いだからドライで走らせてほしい」と口をそろえた。 家族の期待を背負う小椋は今回、ホテルのエアコンの風向きが悪く、快眠できていないという。それでも「寝不足の方が集中できる」と涼しい表情。次戦マレーシアGP(11月3日決勝)は仕事のため現地観戦できないという父と姉の前で、念願のチャンピオンを決めてみせる。
中日スポーツ