「オルソケラトロジー」のリスクはご存じですか? メリット・デメリット・注意点も眼科医が解説!
夜間に特殊なコンタクトレンズを装着することで、日中の視力を矯正する「オルソケラトロジー」。今回は、オルソケラトロジーのメリット・デメリットや合併症リスクなどについて、「片桐眼科クリニック」の片桐先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
オルソケラトロジーのメリット・デメリット 合併症などのリスクはない?
編集部: まず、オルソケラトロジーについて教えてください。 片桐先生: オルソケラトロジーは、近視に対する矯正法の一種です。就寝中に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用することで、眠っている間に角膜の形状を変化させ、近視を矯正して翌日の裸眼の視力を改善させる方法です。「ナイトレンズ」とも呼ばれています。 編集部: 角膜の形状が変化すると、近視が矯正されるのですか? 片桐先生: 近視は、見たいものに適した屈折状態に調整できないために、遠くのものが見にくくなる状態です。オルソケラトロジーレンズを装着すると、就寝中にレンズが角膜を圧迫し、角膜の形状を適切な屈折状態に矯正するので、近視が改善されるのです。角膜は一度形状が変わると“くせづけ”がされて形状が一定期間維持されます。 編集部: オルソケラトロジーには、どのようなメリットがありますか? 片桐先生: 眼鏡やコンタクトレンズなどでの矯正と比べて、日中は裸眼で過ごすことができます。また、レーシック手術による治療と比べると、患者さんへの負担が少ない点もメリットとして挙げられます。さらに、治療を開始して合わないと思った場合、治療を中止すれば2週間程度で元の角膜形状に戻るというのも安心材料だと思います。 編集部: では反対に、デメリットはありますか? 片桐先生: 保険が適用されないため、治療費がやや高額になることや、通常のコンタクトレンズと同様に、レンズを適切に管理しないと、角膜炎などの原因となり得ることなどです。また、見え方としては、暗いところで光のにじみ・まぶしさやブレを感じる可能性があります。ただし、必ず生じるわけではなく、夜間など暗いところで極端に黒目が大きくなる人や、強度近視を過度に矯正している人などに生じやすいと言われています。