「オルソケラトロジー」のリスクはご存じですか? メリット・デメリット・注意点も眼科医が解説!
オルソケラトロジーの適応条件や向いている人は?
編集部: オルソケラトロジーの適応条件はありますか? 片桐先生: 近視・乱視の強い場合やドライアイがある場合には向いていないかもしれません。また、角膜の形状やほかの目の病気によっては治療ができないこともあります。なお、当院では10歳以上をオルソケラトロジーの治療対象としています。 編集部: では、向いている人はどんな人ですか? 片桐先生: 「眼鏡やコンタクトレンズが煩わしいと感じている」「裸眼でスポーツや水泳などを楽しみたい」「レーシック手術に抵抗がある」といった人に向いています。オルソケラトロジーによる治療は、事前にカウンセリングやテスト装用をおこなってから開始するので、興味があれば取り扱いのある眼科で相談することをおすすめします。 編集部: 近視が強い人は、オルソケラトロジーを受けられないのですか? 片桐先生: 必ずしもそうとは限りません。強い近視用のレンズや、乱視用のレンズなども開発されてきています。特殊なレンズなので全ての医療機関で対応しているわけではありませんが、「強度近視専用レンズの取り扱いはありますか?」と問合わせてみてはいかがでしょうか。 編集部: テスト装用について、もう少し詳しく知りたいです。 片桐先生: 事前のカウンセリングで、オルソケラトロジー治療の適応と判断されたとしても、実際に始めてみると「思ったような効果が得られない」「どうしても装用感が合わない」と感じる人もいらっしゃいます。そうした事態を避けるために、例えば当院の場合は、まずは院内で1時間前後レンズを着けてみて、効果が見込めたらご自宅で1週間、レンズの貸出しをして実際のような装用体験をしていただきます。問題なく十分な効果を確認できたら、実際に治療を開始していきます。
オルソケラトロジーの治療期間・検査・費用など、受けるにあたって知りたいこと
編集部: オルソケラトロジーの治療期間はどのくらいですか? 片桐先生: 近視が矯正されたと言っても、レンズで角膜に一時的に型をつけている状態なので、レンズを装用しないでいると徐々に角膜の形状は元に戻っていきます。個人差はありますが、治療をやめると、長い人でも2週間後には元に戻ってしまいます。いつか終わる治療ではなく、毎晩のレンズ装用を基本的には続けることになります。 編集部: オルソケラトロジーを受けるにあたって、どんな検査をするのですか? 片桐先生: 通常の視力検査のほかに、近視や乱視の程度、角膜の形状や健康状態をあらかじめ確認します。 編集部: 費用についても気になります。 片桐先生: 自費診療なので、医療機関によって差があります。例えば当院の場合は、通常レンズのケースだと2回の適応検査が各5500円、1週間のトライアルが4万4000円、実際の治療が両目で9万3500円となります。強度近視の場合は特注レンズになり、さらにご負担が増えます。やや高額に感じるかもしれませんが、オルソケラトロジーの治療費は医療費控除の対象なので、10万円を越えた費用は補助を受けられます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 片桐先生: オルソケラトロジーは近視の進行を抑える効果も期待されているので、近視の矯正法で迷っている人は、一度トライアルを試してみてはいかがでしょうか。試してみてどうしても合わなければ、その時点でやめれば元に戻るため、その後にほかの方法を検討することもできます。