2025年「通信と金融」再編の鍵は銀行だ。ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天それぞれの課題
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の携帯4社は金融事業の再編を急いでいる。 【全画像をみる】2025年「通信と金融」再編の鍵は銀行だ。ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天それぞれの課題 携帯電話サービスの利用拡大、囲い込み策として金融・決済サービスとの連携強化が重要視されるなか、各社とも新たな戦略を模索している。 2024年の各社の戦略を振り返る。
2024年の金融サービス強化の主役は「新NISA」
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の携帯4社は、グループ内に多くの金融・決済サービスを抱えている。 各社ともそれぞれ立ち位置や出自は違うが、主力がモバイル事業の既存3社と、インターネット事業から出発した楽天でも事情が異なっている。 それでも現在、各社の間で金融・決済事業が重要な役割を果たしているのは変わらない。まずは、そんな各社の2024年の動きをまとめる。 2024年の金融業界における一大トピックが、1月の「新NISA」のスタートだった。一般NISA制度の開始から10年、つみたてNISAから6年目となり、整理・統合する形でNISA制度が新しくなった。 制度が恒久化されて非課税保有期間も無期限化。つみたて投資枠が年間120万円まで、成長投資枠も年間240万円までそれぞれ拡大されたことで、年間360万円まで投資枠が用意された。 これは強烈で、NISA制度への注目がさらに増した。日本証券業協会によれば、2024年1~9月末までのNISA新規口座開設数は335万、口座数は1763万に達した。 中でもPayPay証券(ソフトバンク)は対応が遅れ、新NISAに参入したのは1月だったが、一気に契約も拡大して半年で30万口座を獲得した。 新NISA制度で一歩抜きんでているのが楽天証券だ。 ネット証券大手のSBI証券と首位を争うレベルとなっていて、1000万口座を超え、楽天とSBIの2強となっている。 これに追随するのが第3位グループと言える証券会社で、例えば野村証券でも600万口座(11月末時点)に満たない。 ドコモと資本業務提携したマネックス証券は267万口座(同)、auカブコム証券は177万口座(同)、PayPay証券は124万口座(9月末時点)だ。 クレジットカードによるつみたて投資が可能になっていたことから、各社とも自社クレジットカードによる投資枠も月間10万円に拡大。 各社の「共通ポイント」につなげることで、自社クレジットカードの利用拡大、証券口座への誘導を図っている。