AI時代に必要なのは恐怖ではない。チャンスにするための視点とは? 後半(東福まりこ キャリアコンサルタント)
■時間は、まだある
Windows’95が発売された1995年の第三次産業革命(いつを第三次産業革命とするかは諸説ある)開始から、私たちはハイスピードで技術が進む真っただ中にいる。 ChatGPT登場そのものか、あるいはもっと大きな発明が控えていて、それが次の新技術による大きな転換の始まりだとするならば、新しい技術が一般に浸透するまで、時間はある。 というのも、技術革新の後、一般に普及するまでには時間がかかるからだ。 例えば、2008年にiPhoneが発表されてから、スマートフォンの世帯保有率が8割を超えるまでに約10年、9割を超えるのにさらに3年かかっている。 現在のほうが昔よりも技術の進歩のスピードが速いとしてもある程度の時間はあるはずだ。 実際、ChatGPTの使用に対する企業の対応は現時点では積極的に取り入れる企業と禁止する企業で分かれており、すぐに全体に普及しているとは言い難い。 「日本の組織は72%が、職場でのChatGPTやその他の生成AIアプリケーションの禁止を実施、あるいは禁止を検討している。」 (引用・日本企業の72%が「生成AIの利用禁止」という衝撃 ChatGPTに「積極的な企業・否定的な企業」の決定差 東洋経済 2023/10/01) まだ時間はある。準備に入ろう。
■第三次産業革命で覇権をとったのはアメリカ
海外に関係する部署へ異動しよう、海外で働こう、海外から仕事をうけよう、という話をした。筆者とて日本が先進国のなかで取り残されているような今の状況を良しとしているわけではない。 日本の製造業が世界でリードをとっていたのは昔で、第3次産業革命と呼ばれる情報・通信革命、具体的にはコンピューター・インターネット登場の後、世界の産業界で覇権をとったのはアメリカだった。 会社ではWindows OSのパソコンで仕事をし、ブラウザはGoogle Chromeを使い、Googleで検索し、Amazonで買い物し、SNSはFacebook・Instagram・X(旧twitter)を使っていないだろうか?AppleのiPhoneを愛用していないだろうか? ビッグテック、日本ではGAFAMと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple、Microsoft、世界的に話題になったChatGPTを作ったのもOpenAIというアメリカ企業だ。 アメリカが第3次産業革命の勝者であることは明らかで、日本には世界的なテック企業はまだなく、自動車ではトヨタ・日産・ホンダ、電気機器ではソニー・日立・パナソニックなど製造業で世界を席巻した企業がたくさんあるのとは対照的である。 次の第4次産業革命ではどの国がリードするか。ドイツは2011年に政府主導で「インダストリー4.0構想」を公表し、2013年から産官学連携で次の覇者になるべく取り組んでいる。