AI時代に必要なのは恐怖ではない。チャンスにするための視点とは? 後半(東福まりこ キャリアコンサルタント)
■先進国なのに、出稼ぎ?
日本人が出稼ぎするの?アウトソース「先」になるの?とショックを受けるかもしれない。しかし現在の日本の状況を考えると、それを普通のこととして受け入れる時代が来るだろう。日本人が今、海外で働くあるいは海外でモノ・サービスを売ることには2つのメリットがあるからだ。 1つめは、諸外国に比べ、日本の賃金が安いことである。
何度もニュースや雑誌で取り上げられたG7各国の実質賃金の推移のグラフにショックを受けた人も多いのではないか。1991年から2020年の約30年で、アメリカ・イギリスの賃金は約1.5倍、カナダ・ドイツ・フランスは1.3~1.4倍に増えているなか、日本は30年ほぼ横ばいで推移している。 先進国だけではない。先日、ここ10年で外国人技能実習生の賃金が4割増しになったという報道があった。新興国でも賃金が上昇しているため以前のままでは来日してもらえず、賃金が1.4倍になっているらしい。 (参考・外国人材、もう安く雇えない 実習生賃金10年で4割増 日経新聞 2023/10/22) NHKクローズアップ現代「安いニッポンから海外出稼ぎへ」取材チームの記事では、海外で稼いでいる日本人へのインタビューで、現地での収入の高さを述べている人が多い。 (参考・日本人の若者が海外に出稼ぎへ 増加の裏側にある労働問題 NHKみんなでプラス 2023/02/01)
2つめは、円安だ。 2023年10月3日、対ドルの円相場が1ドル=150円台前半になった。150円台を付けるのは、2022年10月21日以来である。なお、3年前の2020年10月同時期は、1ドル=104円~106円のレベルであった。米ドルで報酬を受け取るメリットは大きい。 先進国からだけでなく、発展途上国から仕事を受けるチャンスもある。前述したUpworkというプラットフォームを見ると、例えば、中国から日本語ネイティブへの仕事の募集がある。中国は場合によって発展途上国と経済成長の誇示とを使い分けているので発展途上国の代表的な例ではないかもしれないが、今後は発展著しい新興国から仕事を受けるケースもあるだろう。