ラストの展開が熱すぎる…。映画『はたらく細胞』が成功した7つの改変ポイントとは? 実写映画で叶った熱い共闘シーンを解説
改変ポイント⑥ 茂の骨髄移植がもたらす熱すぎる展開
人間パートにて、日胡は放射線治療を受けることになる。しかし、その治療は悪い細胞だけではなく、健康な細胞の一部も破壊してしまうというリスクを伴っていた。 体内パートでは、放射線が空から降り注がれ、瞬く間に体内世界が崩壊していく様子が映し出されるが、まるで“核戦争の世界”そのものである。言わば、一度、体内という世界を一新してしまおうという手法が、放射線治療というわけだ。この描写には、バトルシーンとは異なる絶望感が漂っている。 擬人化した細胞が戦う中で、荒野と化した日胡の体内。しかし、そこには、茂の骨髄移植により、新たな「血」が吹き込まれることとなるのだ。 そう、ということは、父の身体の中で右往左往していた、新米赤血球が、日胡の身体に移植されるのだ。 そして、赤血球と新米赤血球がコンビとなり、体内の各所細胞へ一生懸命酸素を運び始めるというオリジナル展開が繰り広げられる。 これは、熱い! 熱すぎる! 別々の漫画で奮闘していた2人が、日胡の体内で邂逅するとは! この構成は、長期にわたる漫画原作を実写版に改変する手法として、まさにお手本と言える仕上がりだ。
改変ポイント⑦ 指切りに込められた約束
終盤は、一度、最強の敵により手負いとなった白血球が、最後の力をふり絞り、最強の敵との一騎打ちに挑む。 しかし、最強の敵を倒したものの、自身も命を落とす白血球。その最期を看取る赤血球が、白血球と小指同士で指切りを交わす。これは、2人が幼い頃に交わした、また会う約束の象徴として描写されているのだろう。 その後、日胡の身体は消滅の危機に瀕する。しかし、昏睡状態の茂が、目覚めた日胡を笑わせたことで、「笑うことによって活性化する細胞」が天使のように舞い降り、体内を一新するという描写が描かれる。この奇跡的な展開により日胡は一命を取り留めた。 こうした経緯の中で、赤血球も一度は死滅したのだと思われる。しかし、日胡の体内では、2人の生まれ変わりと思われる細胞たちが働いていた。 剣を振りかざし、病原菌を「ぶっ殺す!」と叫ぶ白血球に、どこかで会ったことがあると思う赤血球。 彼らはきっと、日胡の体内の中で生まれ変わっているのだ。 本作のオリジナル描写である「約束の指切り」が、ラスト描写で2人をまた結び付けたのだ。この展開から考えると、他の細胞たちも生まれ変わっている可能性が高く、続編を期待するばかりだ。
ZAKKY