ラストの展開が熱すぎる…。映画『はたらく細胞』が成功した7つの改変ポイントとは? 実写映画で叶った熱い共闘シーンを解説
改変ポイント② 茂の体内で展開される『はたらく細胞BLACK』の世界
茂の体内は、暴飲暴食や不摂生な生活によってボロボロの状態になっている。ここで特に「上手い!」と思わず小膝を叩いたのは、原田重光によるスピンオフ漫画『はたらく細胞BLACK』(講談社「モーニング」連載)の世界観を、父親の体内を舞台として取り入れた点だ。 『はたらく細胞BLACK』は、細胞たちが働く体内を、人間界におけるブラック企業をモチーフに、「いくら働いても何も改善されない」という環境を描いている。本作は、『はたらく細胞BLACK』の主人公である新米赤血球(板垣李光人)も登場。新米ならではの、あたふたした奮闘ぶりを板垣李光人がコミカルに演じている様が微笑ましい。 また、トラック運転手の茂が運転中にお腹を下し、パーキングエリアまで何とか持ちこたえようとする場面がある。その時、新米赤血球は先輩赤血球(加藤諒)と共に、茂の「肛門」に酸素を届ける。 肛門を死守しようとする細胞たちはラグビー選手のような姿、一方、便を促そうとする細胞たちは相撲取りのような出で立ち。両者がぶつかり合う描写は、まるで合戦のような迫力だ。茂にとっては笑いごとではない深刻な事態を大げさかつユニークに描き、そこに巻き込まれる新米赤血球と先輩赤血球の奮闘ぶりは、爆笑必至である。
改変ポイント③ 日胡の体内で繰り広げられる命の戦場
一方、日胡の体内では、原作における「すり傷」「赤芽球と骨髄球」「がん」というストーリーがベースとなっていることを言及したい。 ヘルパーT細胞(染谷将太)の命令により、がん細胞などを殺す自身の舞台を率いる「キラーT細胞(山本耕史)」たちの登場。さらに、がん細胞やウイルス細胞を見つけ出し、攻撃する一匹狼的な存在「NK細胞(仲里依紗)」が姿を現わす。2人は各々、病原菌を始末する目的とは言え、やり方が違うので、犬猿の仲である。 そんな2人と白血球を加えた、病原菌とのバトルシーンは迫力満点! 人間の体内で起こっている戦いを人間が演じているという不思議な描写は、実写版の方が、自分の身体の中でもそのような戦いがあるのかと実感させてくれる。「がんばれ! 細胞たち!」と、思わず応援したくなってしまう。