ラストの展開が熱すぎる…。映画『はたらく細胞』が成功した7つの改変ポイントとは? 実写映画で叶った熱い共闘シーンを解説
改変ポイント④ 最強の敵(Fukase)が抱える悲しみ
日胡は意中の先輩である武田新(加藤清史郎)と恋仲になり、喜び、テンションが上るわけだが、ここで登場するドーパミンをアゲアゲにする細胞として、DJ KOOが、そのまんまDJ役として起用されている。釣られて他の細胞たちも皆、踊り出す。ギャグパートではあるが、「ドーパミンが分泌された際の人間の体内は、こうなんだよ」と教えてくれているようで、実に興味深い。 しかし、そんな日胡は、血液細胞ががん化した血液のがん「白血病」に侵されてしまう。その元凶は、まさしく「がん細胞」。白血球の「バグ」により生まれる、誰の体内においても、いつ生じるかわからない細胞である。 原作ではそのキャラクターのことを「がん細胞」とそのまま呼ばれているが、本作では特定の呼び名はないので、ここでは公式サイトの紹介文に習って「最強の敵(Fukase)」と呼ばせていただく。 このキャラクター設定の改変にも拍手を送りたい。 原作では、少年時代に白血球に助けられた過去のある細胞だったが、本作では、「いつかお兄ちゃんのようになりたい」と幼い頃に白血球に指導を受け、憧れ慕っていたという設定になっているのだ。 最強の敵は、なかなか1人前の白血球になれず「不良品・落ちこぼれ」と罵られ、排除されるべく連行される。が、バグが発動したことでがん細胞となり、白血球に歯向かう存在になってしまったのだった。
改変ポイント⑤ NK細胞の衝撃的な結末
ここからは、実写映画版オリジナル展開について言及しよう。 犬猿の仲である、強力な殺傷能力を持つ免疫細胞の主力部隊であるキラーT細胞と、がん細胞やウイルス細菌など異物を見つけ次第、単独で攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の関係性は原作通りだが、本作では、NK細胞が最強の敵の攻撃を受けて瀕死の状態に陥るという新たな展開が描かれた。 「え!?」と驚いた原作ファンは多いだろう。共闘していたキラーT細胞は、NK細胞を抱きかかえ、「お前に憧れていたんだ」と、心に秘めていた想いを告げる。 そして、死滅するNK細胞… なんと、切なくも素晴らしい改変であろうか! 罵り合い、腐れ縁だった2人は、互いに認め合っていた…。原作ファンが心の中で思い描いていた関係性が、見事に具現化された瞬間だ。 とは言え、大人気キャラを死なせてしまった点は、一部のファンからブーイングが上がったことも否めない。