ラストの展開が熱すぎる…。映画『はたらく細胞』が成功した7つの改変ポイントとは? 実写映画で叶った熱い共闘シーンを解説
永野芽郁と佐藤健がW主演を務める映画『はたらく細胞』が現在公開中だ。本作は、清水茜による漫画を原作とし、細胞を擬人化したストーリーとなっている。今回は、原作から大きく改変されたストーリーやオリジナル展開などを解説しながら、本作の魅力に迫る。(文・ZAKKY)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】 【写真】永野芽郁、佐藤健らの再現度がすごい…貴重な未公開カットはこちら。映画『はたらく細胞』劇中カット一覧
実写映画が生んだ新たな世界観
本作の原作漫画は、人間という生命体の中でこんなにものスペクタルロマンが起きていることを、感動と驚きとユーモアで表現した名作である。 そもそも、「細胞」を擬人化し、「はたらいている」という表現設定が斬新で、世界的にも類を見ない物語ではないだろうか(細胞はあくまで細胞の姿のままで表現されている作品はあるとは思うが)。 さて、そんな名作の実写映画版だが、製作陣は、原作を忠実に表現すると思いきや、この物語にさらなる世界観を構築することに成功した。 本作は、原作通りに、人間の体内の細胞たちが、働いている様子を描いている。しかしそれだけにとどまらず、細胞たちが形成する人間そのもののヒューマンドラマを絶妙なバランスで挿入し、擬人化された細胞たちの世界と現実の人間が見事に交錯し、感動を呼ぶ壮大な作品に仕上がっている。 本作の原作改変は、物語の深みを大いに増しており、原作ファンである筆者としても「あり」だと強く評価したい。 何より人間が生きる世界を描いたことで、体内で働く細胞たちの世界観がよりリアルに見えてくるのだ。
改変ポイント① 人間本体の視点がもたらす新たなリアリティ
人間パートは、母親を幼い頃に亡くした女子高校生・漆崎日胡(芦田愛菜)と、父・漆崎茂(阿部サダヲ)を中心に物語が展開する。 体調を悪くしがちな父を心配し、健康に配慮したお弁当を作ってあげる日胡と、次第に体調が回復する茂。しかし、健康であった日胡は、ゆくゆくある病を患うこととなる。 人間パートを入れるという改変が非常にうまい。この親子の描写があることで、視聴者側の感情移入がより深くなるという相乗効果を生み出していた。 体内細胞パートも原作通りの部分と、プラスアルファ要素があり、見応えがある。 外部から侵入した細菌やウイルスといった異物を排除するのが主な仕事である主人公、“白血球”(佐藤健)。一方、その白血球に助けられた過去を持つ、“赤血球”(永野芽郁)は、体内で酸素を運ぶ大切な役割を担っている。 物語はこの2人を中心に展開していくが、成長した彼らが再会する場面では、白血球はその事実にあまり気付いていない。 幼い頃2人は、「また会おう」と約束の言葉を交わしているが、本作のこのシーンでは原作にはない演出として、小指同士で指切りをする場面が描かれる。この指切りが、後にエンディングで重要な意味を持つことについては後述しよう。