超できそうなのに恐ろしく無能だったら? 菜々緒が語る「できない自分」との付き合い方
主人公が最初から最後までまったく成長しない
ものすごく有能に見えてとんでもなく無能という、これまでいそうでいなかったタイプの主人公、鷹野。菜々緒さんにとって、鷹野の第一印象はどんなものだったのか? そして菜々緒さんが思う彼女の魅力とは? 「衝撃的でした(笑)。お仕事ドラマって、ダメダメな主人公が成長していくとか、バリバリ仕事ができる人が活躍するものが多いですが、そんななかで、主人公が最初から最後までまったく成長しないんです(笑)。まずそれが新しいなと思いました。 一方で、鷹野はとにかく自分に嘘がなく、自分のことを信じていて、常に自分らしくいられる人間です。どんな状況でも、そしてどんな人にもフラットで、外の世界に影響されない。そこがすごく魅力的だと思います。 計算がなく、あるがままに生きているところも素敵ですよね。もはや禅や仏教のマスターを彷彿させる、突き抜けた何かすら感じます(笑)。令和の今だからこそ、いろいろな人の心に響く作品だと思っています」
クランクイン前に一度リハーサルを
脚本を担当したのは、「正直不動産」「パリピ孔明」等のヒット作で知られる根本ノンジ氏だ。 「ベースとなる原作が面白いことは大前提として、ドラマの台本として起こされた時にまためちゃくちゃ面白いものになっていて。『これをどう演じるか』が肝になってくるなと、身が引き締まる思いがしました。 会話のテンポ感や間の取り方など、生身の人間が演じる際には、バランスを考えて動かないといけない部分がたくさん出てきます。コメディーは特にそれが大事なので、当初、私はすごく不安を感じていたんですが、クランクインの前に一度、営業部のメンバーでリハーサルをすることができたんです。 『ここはこうだね、ああだね』というやり取りをリハの時に相談し合いながらできたので、本当に有意義な時間になったと思います」
「もうちょっと力を抜いて生きても大丈夫」
どんな時も、相手が誰でも、自身の気持ちに正直に行動する鷹野。彼女が「正直でいいんじゃない?」と口にすることで、まわりにいる人間がフッと肩の力を抜いたり、新たな気づきを得たりもする。日頃、ついつい無理をして頑張ってしまう私たちにとって、ドキッとさせられるシーンが多い作品だ。 「鷹野は嘘をつかず、偽らず、ありのままの自分でいることを体現している人間です。取り繕うこともせず、自分を無能だと認め、無能であることを彼女自身が一番よくわかっている。しかもそれを恥じてもいなければ、悪いことだとも思っていないんですよね。 でも、それでいいと思うんですよ。だって、できないものは仕方ない(笑)。特に日本人は真面目だし優しいから、なかなか『できない』と言えないし、休むのも下手じゃないですか。 ドラマを観た方が、『今の自分のままでもいいんだ』『もうちょっと力を抜いて生きても大丈夫かも』と少しだけ楽になれるような、そんな作品になったら嬉しいなあと思います」