超できそうなのに恐ろしく無能だったら? 菜々緒が語る「できない自分」との付き合い方
息苦しさを感じている人にとってのチルタイムに
他者と同じようにできない人、失敗した人、結果を出せなかった人を叩く風潮がある現代。「できなければいけない」「失敗は許されない」「結果を出さねばならない」という圧の中で頑張り続けるのは、なかなかにしんどいものがある。 「本当にそうですよね。今回、このドラマのプロデューサーである貴島(彩理)さんが、お手紙をくださったんです。そこに『生きているだけで人間ってえらい』という一文があったんですが、確かにそうだなって。 人も時代も進化して、能力だ、才能だ、っていろいろあるけど、本当は人間って、ただ生きて楽しんでいるだけで素晴らしいんだよなあと、あらためて思ったんです。 何かできないことがあっても自分の全部がダメなわけじゃないし、頑張ることをお休みする時があったっていい。そういうことを作品を通して声を大にして伝えていきたいですし、このドラマが息苦しさを感じている人、ちょっと疲れてしまった人のチルタイムになればいいなと思いながら鷹野を演じています」
ダメな自分を認めてもいい
落ち着いた物腰、キリリとした知的なまなざし、艶やかなロングヘアと、「デキる女性」な見た目を持つ鷹野。まさに菜々緒さんそのものに思えるが、菜々緒さん自身はビジュアル以外に鷹野との共通点や似ていると感じる部分はあるのだろうか? 「鷹野は人に影響されず、どんな状況でもフラットでいられるタイプの人間、そこがすごいなと思います。私も人に影響されたりまわりの雰囲気に流されたりということがあまりないので、そういった部分はすごく似ている気がします。あと、漢字が読めないところも鷹野と同じですね(笑)。 私自身、苦手なこと、努力しても上手くできないことがたくさんあります。ただ人間、誰しも向き不向きがあるので、できないことについて自分を責めたり後ろめたく思うのではなく、『私には○○は向いていないんだな』と認識するだけでいいと思うんです」
それでもいいと受け入れてくれる人たちを大事にしたい
そんな菜々緒さんが、子どもの頃から苦手としていることとは? 「私は子どもの頃から音読が苦手で、どうしても噛んでしまうんです。だから小学生の時、授業で音読させられるのが恐怖でした。それは今でも変わらず、この仕事を始めて15年も経ちますが、番宣などのカンペが上手に読めません(笑)。 今回の現場でもやっぱり噛んでしまったのですが、スタッフの皆さんが『逆にかわいいと思った!』『失敗しても大丈夫ですよ~!』と声をかけてくださって。それが本当にありがたくて、ああ、私はかけがえのない人たちと一緒に仕事をしているなあと思ったんです。 ダメな自分を素直に認める。そしてダメなところをさらけ出して、それでもいいと受け入れてくれる人たちを大事にしたい。感謝とともに、今はそんなふうに感じています」 ◇後編「菜々緒が語る「見た目で判断される」ということ」では、鷹野ツメ子を説得力を持ってできる菜々緒さんの本音をさらに伝えていく。 菜々緒(ななお) 1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。2009年より本格的に芸能活動を始め、ドラマ・映画・CM等幅広く活躍中。最近の主な出演作は、NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」、主演を務めたドラマCX「忍者に結婚は難しい」、劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」、映画「怪物の木こり」など。昨年発売した10年ぶりの写真集「DIVINE」も話題となった。2023年より、GIVENCHYのジャパン・アンバサダーに就任。今年8月には「NANAO OFFICIAL FANCLUB」を開設した。 金曜ナイトドラマ『無能の鷹』 主人公の鷹野ツメ子(たかの・つめこ)はスマートな身のこなしに落ち着いた声。自信に満ちあふれているのに謙虚な立ち振る舞い。どこからどう見ても中堅エース級の風格を備えていて、超有能そうな見た目なのに、実は衝撃的に無能! 一方、鷹野と同期入社の鶸田道人(ひわだ・みちと)は、本当は仕事ができるのに、見るからに無能そうな残念サラリーマン。社内ニートとなっている鷹野の相棒役を押し付けられ、不運すぎる社会人生活をスタートさせる。しかし、やがて“有能に見える女”と“無能に見える男”の最強タッグが奇跡を起こす…!? スタイリスト:金 順華 ヘアメイク:大槻史菜(MARVEE)
上田 恵子(ライター)