2024年「ヒット商品ベスト30」 この1年でよく売れたもの大集合
2024年は残り2カ月を切った。物価高は終わる気配がないものの、それに負けじと食品や菓子・飲料、アパレル、日用品、美容などとそれぞれの分野でたくさんのヒット商品が誕生。振り返れば“豊作”の1年で、特に革命的商品や高コスパ商品が大人気だった。そうしたヒット商品を日経トレンディが紹介する。 【関連画像】2024年ヒット商品ベスト30の1位には、新NISA&「オルカン」投資が選ばれた 能登半島地震が1月に起こり、不安なスタートを切った2024年。消費を語る上で外せないのはやはり物価上昇だ。22年4月以降、消費者物価指数の前年同月比は30カ月連続で2%以上の上昇。最低賃金が23年度に43円上昇するなど給料も増えたが、実質賃金は前年比でマイナス0.6%(24年8月速報)と、物価の伸びに追いついていないのが実情だ。 さらなる生活防衛のために人々が目を向けたのは、確実にお得さを感じられる「得(トク)ノミクス」の商品群だ。その先陣を切ったのが、24年1月に大幅拡充された「NISA(少額投資非課税制度)」(1位)。中でもコストが安く、全世界の株式に投資することで資産の安定成長を期待できる投資信託「オルカン」に、投資初心者たちの資金が流入した。他にも、統合で還元率などが増した「Vポイント」(3位)や、割安なセールを連発した越境ECサイトの「Temu」(9位)、「運賃・料金が4割引き」などの魅力的な特典を打ち出した「JRE BANK」(27位)なども、圧倒的お得感で人を集めた。財布のひもが固くなった時代に、商品を選ぶ際の「得するかどうか」という新基準が生まれたといえる。 23年とのもう一つの違いは、街を歩く人が増えたことだ。テレワーク体制を見直す「出社回帰」が進んだことから、外に出る人がさらに増えた。その結果、時間が再び足りなくなるとともに、猛暑で疲れを感じた人が増加。そこで、さらに生活を楽にする「ラク至上主義」の商品がヒットした。全くこすらずにトイレを掃除できる洗剤の「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」(16位)や、肩こりを1日中癒やせる「コリコランワイド」(24位)などが好調だった。 長く売れている「定番」は、多くの人が良いものとして認知している。しかし24年は、多様性の時代を象徴するような新しい価値観で売れた商品も多かった。それが「隠れ『定番アンチ』」とも言うべき商品群だ。伝統的な「アルデンテ」ではなく「もっちり」を訴求した「もちっとおいしいスパゲッティ」(13位)はその代表格。衣類でも、近年人気の「接触冷感」より「吸湿速乾」を優先させた「アセドロン」(14位)が脚光を浴びた。 時短や効能も大事だが「実感」を大事にする文化も根付きつつある。そこで売れたのは「増し増しスペック」な商品。「痛いコスメ」の代表格である「リードルショット」シリーズ(4位)や、ふくらはぎ特化の強力マッサージャー「ゴリラのひとつかみ」(19位)も好評を博した。