最愛の恋人を飛行機事故で亡くし、重いリウマチに苦しみ、波乱万丈の人生を送った伝説の歌手、エディット・ピアフ。不幸な生い立ちから歌うことでスターに
◆「愛しなさい」 映画の終わりの頃、海辺で編み物に興じる「過去のひと」になりつつあるピアフに、若い女性がインタビューするシーンがある。 「――若い女性へのメッセージは?」 「Aimez (愛しなさい)」 「――子どもたちには?」 「Aimez」 「――すべてのひとたちに」 「Aimez」 誰よりも身勝手に、愛を乞うて生きてきたピアフが「愛しなさい」というと心が揺さぶられてしまうのは何故なのか。 ピアフは決して聖人ではなかった。しかし偉人となった。それは彼女が私たちと同じ心をもっていたからだと思う。あまりにも愚かなピアフはそのまま私達であり、彼女の歌う歌詞は、そのまま私たちの想いだからだ。 『愛の讃歌』はこれからも間違いなく歌い継がれるだろう。「どんなに苦しくても、愛を知らずに死ぬよりよほどましなのだ」と、私たちに勇気をくれる、究極の名画である。是非この夏に御覧あれ!
さかもと未明
【関連記事】
- まさに光源氏と紫の上!『プリシラ』エルヴィス・プレスリーに愛された15歳の少女。浮気者のスターと彼女の関係は
- ブルース・リーを知る男・倉田保昭が悪役として躍動する『帰って来たドラゴン』。日本のカンフー・マスターにくぎ付け
- 夏休みに観たい映画BEST『デューン/砂の惑星/Part1,2』砂漠の景色、ティモシー・シャラメ…完璧な映像美に圧倒され…アカデミー賞6部門を受賞したSF映画
- 巨匠の手で見事に生まれ変わった『レ・ミゼラブル』。「ベルモンド死す」のニュースにショックを受けながらベルモンドのジャン・バルジャンを観た
- 炭鉱夫の息子は、バレエダンサーになれるのか?『リトル・ダンサー』進路に悩む若者と、子育てに悩んでいる親御さんと、両方に見て欲しい