Netflixのお笑い仕掛け人、佐久間宣行の生き様 「トークサバイバー!」を支える“滑らせない力”
また、番組制作に携わるディレクターたちへの信頼も、番組を成功に導く重要な要素だと語る。 「現場のチーム、特に僕を中心としたディレクターたちが『どんな話が出ても滑らせない』と信頼されているからだと思います」 この信頼関係が、自由な発想と挑戦的なアイデアを支え、番組をさらに高みに引き上げている。 ■業界改革への思い 佐久間は、エンタメ業界のベテランとして、後進の育成にも力を入れている。例えば、「ゴッドタン」では若手ディレクターを積極的に起用し、彼らが成長できる環境を整えている。
「『ゴッドタン』では、20代や30代前半のディレクターが多く、彼らが番組で育っていき、やがて卒業していく流れがあるんです。結果として、僕だけが残っているという状況になっています」 年齢を重ねたことで生まれる権威感を避け、自由な意見交換を大事にしている。 「『佐久間の言うことが絶対だから直さなきゃいけない』と思わせないようにしたいんです」 また、若手スタッフが佐久間に対して率直に意見を言える環境を整え、クリエイターとしての成長を促している。
「僕に『違う』と言えるスタッフを必ず入れるようにしています。そうしないと、若手がイエスマンばかりになってしまう。だから、スタッフが『違う』と意見を言いやすい空気を作ることが、クリエイターたちが育つために大事だと考えています」 ■“わけのわからない仕事”の未来 最後に、50代を迎える佐久間に、エンタメ業界での今後の挑戦について尋ねてみた。「トークサバイバー!」での成功を経て、彼が日本の笑いを世界に広めるかと思いきや、その答えは意外なものだった。
「フリーになって何でも受けた結果、大変でしたけど、面白い仕事に繋がったので嬉しかったです。ここから先は、もっと楽しい仕事をするために『何それ?』というような仕事をたくさん受けようと思っています」 既存の成功に満足せず、さらにリスクを取って挑戦を続けるその姿勢は、佐久間の独自性を際立たせる。 「わけのわからない仕事にも積極的に挑戦していきたいですね。もちろん、何の話題にもならずに終わる可能性もありますけど(笑)」
彼の柔軟で自由なアプローチは、今後も業界に新たな風を吹き込み、さらなる可能性を切り開いていくだろう。そして、誰もが予想できない新たなステージへと進んでいく。
池田 鉄平 :ライター・編集者