2回、サーラー（左）からダウンを奪う田中（撮影・浅見桂子）

＜プロボクシング：フェニックスバトル123大会＞◇17日◇東京・後楽園ホール◇日刊スポーツ新聞社後援 　2023年全日本選手権ウエルター級優勝などアマチュア5冠の田中空（23＝大橋）が、プロ2戦目で東洋太平洋ランカーを2回TKOで撃破した。 　試合開始のゴングと同時に東洋太平洋ウエルター級11位チャン・サーラー（32＝タイ）に接近して打撃戦を挑んだ。細かい左右アッパーに強烈な左ボディーフックを織り交ぜた連打で、11勝中7KO（3敗）と同じく打ち合いを得意とするチャンを圧倒。2回1分20秒すぎに顔面への右フックでダウンを奪うと、立ち上がったチャンに一気に連打をまとめてレフェリーストップ勝ちした。 　プロデビューした6月の1回TKOに続く2連続KO勝利。「（ダウンを奪った右フックは）意識していないパンチだったけど効いたのは分かった。相手の試合を映像で見て、1回から打ち合いになるのは予想していた。あの距離は得意。左ボディーも手応えがあった」。作戦通りの勝利に田中は汗の噴き出る顔をほころばせた。 　ニックネームは“ハマ（横浜）のタイソン”。身長165センチとウエルター級では小柄だが、ヘビー級では小さい180センチながら豪腕でKOの山を築いた元統一世界ヘビー王者マイク・タイソン（米国）をほうふつさせる右ファイター。その本家ばりのインファイトと強打で、わずか2戦目で東洋太平洋ランカーを粉砕してみせた。 　「2戦目でいいチャンスを会長にいただいたので絶対に落とせないと、一生懸命練習しました。これからも会長が組んでくれた試合に勝つだけです」。世界的に選手層が厚く、猛者たちがしのぎを削るウエルター級戦線に“ハマのタイソン”が殴り込む。【首藤正徳】 　◆田中空（たなか・そら）2001年6月1日、川崎市生まれ。3歳の時、元プロボクサーの父強士さんの勧めでボクシングを開始。幼稚園から大橋ジムでもスパーリングを経験。武相高から東洋大へ進学。17年に高校選抜、アジアジュニア選手権、19年に高校選抜優勝。22年に国体、23年に全日本選手権を制覇。家族は両親と妹。身長165センチの右ファイター。