英国の路面との相性は素晴らしい! アルファ・ロメオ・ジュリアQV 長期テスト(1) クセも幾つか
初回 自分では手の届かないスーパーサルーン
「なんて羨ましいヤツだ!」。インスタグラムへ写真をアップしたら、友人から5分後にこんなコメントが入った。真っ赤なアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(QV)の画像を見て、反応してくれたらしい。自分でも、厚遇だと思う。 【写真】アルファ・ロメオ・ジュリアQV オリジナルの4ドア・ジュリア 近いV6のマセラティMC20も (119枚) 彼は、大のアルファ・ロメオ・マニア。だが、弱点があればはっきり認める。このイタリアン・ブランド好きには、そんな考え方の人が多いように思う。 筆者は、アメリカの実業家で大富豪、ウォーレン・バフェット氏を尊敬する1人にしている。彼は現在94歳。全世界で6番目に裕福な人間であり、世界最大の投資持株会社、バークシャー・ハサウェイ社の会長でCEO、筆頭株主という肩書を持つ。 バフェットはドライな性格だが、ユーモアがあり慎ましい。1980年代に、彼はプライベートジェットを購入した。実質的に代金を支払ったことになる、同社の株主宛の手紙の中で、飛行機の名前を「ザ・インディフェンシブ(養護不可能)」にしたことを綴った。 今の筆者は、自分では手の届かないようなアルファ・ロメオに乗っている。この気持ちは、その時のバフェットに近いかもしれない。自分のクルマのように楽しみ、しっかりご報告したい。
英国のアスファルトとの相性は素晴らしい
AUTOCARの長期テストにジュリア・クアドリフォリオがやってきた理由は、極上のスーパーサルーンが、大きなアップデートを受けたから。最高出力は、従来から10ps増し。機械式リミテッドスリップ・デフも獲得した。 フロントグリルは新しく、ヘッドライトはマトリックスLEDに。メーターパネルは、モニター式になった。大きく変化する自動車市場において、ジュリア・クアドリフォリオの価値とは。普段使いでの様々な印象とともに、お伝えしたいと思う。 真っ先に思い浮かぶ疑問は、最新のイタリア車は、そもそも普段使いに適しているのか。毎日短くない距離を走ることになるが、メルセデスAMGやアウディのRSシリーズ、BMWのMモデルなどとは大きく性格が異なる。 少なくとも、グレートブリテン島のアスファルトとの相性は素晴らしい。ドライブモードを引き締めつつ、ダンパーをソフトにした状態が、現在の筆者のお気に入り。人間工学的にも考え抜かれ、居心地も良い。 英国価格は、7万8195ポンド(約1525万円)から。それほどの内容があるのか、という疑問が湧くかもしれないが、3.0L V型6気筒エンジンを積む最新のアウディSQ5は、7万5000ポンド(約1463万円)を超えるらしい。 クロスオーバーだから、実用性ではSQ5の方が優れるはず。だがエンジンの馬力では、サルーンのジュリア・クアドリフォリオが150psほど勝る。エキゾチックさでは及ばないだろう。