滑走路の先に“壁” 航空評論家「固い構造物の設置ありえない」 韓国・旅客機事故【サンデーモーニング】
■「非常に差し迫った緊急事態」 胴体着陸の背景には何が? 航空評論家・小林宏之さん 「着陸をやり直した直後に、2つのエンジンがほぼ停止状態になったと考えられる。着陸装置(車輪など)が出ない場合は、上空で旋回しながら車輪を下ろすことを試したり、胴体着陸のときは燃料が少ない方がいいので、旋回しながら燃料を消費することを通常は行うが、それもしないで即着陸したということは、非常に差し迫った緊急事態」 両方のエンジンが鳥を吸い込み停止した可能性があるというのです。 エンジンが全て停止すると、油圧システムで動かす装置も使えません。 自動で車輪が出せないうえ、着陸前に減速して飛び続けるための「フラップ」や「スラット」などの装置も操作できないといいます。 航空評論家・小林宏之さん 「フラップとスラットが出てないのが分かる。出てないので、接地した速度が300キロぐらいだと思う。操縦系統あるいは着陸(の装置)については、油圧がないと何も(操作)できない」 通常は時速約200キロで着陸するところ、今回は約300キロで着陸したとみられる旅客機。 減速機能が正常に作動しないまま、滑走路を滑り続けたのです。 2009年には、ニューヨークで「ハドソン川の奇跡」と呼ばれる事故が起きました。 このときも、鳥の群れとの衝突でエンジンが両方とも停止しましたが、川に不時着したことによって乗客乗員の全員が助かっています。 しかし今回、必死の胴体着陸を試みた先にあったのは、コンクリートの壁。 旅客機の誘導装置の土台として設置されていたもので、被害を拡大する要因となりました。 リスクを減らす対策を取ることはできなかったのでしょうか。 ■滑走路に置く構造物は「壊れやすくするのが普通」 膳場貴子キャスター: 旅客機に何があったのか、現時点で考えられることを整理していきます。 中西悠理アナウンサー: 大惨事となった今回の事故の原因について、元パイロットで航空評論家の小林宏之さんは「エンジンが左右両方停止した可能性」を指摘します。 全てのエンジンが止まると、油圧システムも機能しなくなります。 油圧システムとは、エンジンの力を利用して、パワーが必要な機械をコントロールするシステムです。 これが使えなくなると、車輪の出し入れや、着陸のときに使う翼の装置も操作できません。 今回は翼の上にあるスポイラーも起動できず、ほとんど減速できないまま滑走路を突き抜けたとみられます。