1番人気はホンダ、2番はスバル 25年落ちでも米国で人気の軽トラ
25年以上前に造られた国産の軽トラが、米国で「Kei Truck」として人気を集めている。報道によると、米国での中古軽トラの販売台数は過去5年間で3倍に増加したという。一体なぜ、日本での発売から25年以上も経過した中古の軽トラが米国で人気なのか。その理由に迫る。 【関連画像】現地での使用目的は実用重視だが、フードトラックや宣伝カーとしても重宝されている。オーイワのウェブサイトには車両の他にパーツの掲載もある ※日経トレンディ2024年10月号より。詳しくは本誌参照 【中古軽トラにブームの兆し【米国発】Kei Truck】 ●日本の中古軽トラが米国で人気 25年落ちでも引く手あまたのナゾ 25年以上前に造られた国産の軽トラが、米国で「Kei Truck」として人気を集めている。報道によると、米国での中古軽トラの販売台数は過去5年間で3倍に増加し、昨年だけでも約7500台が日本から米国に輸入されたそうだ。 日本独自の規格である軽自動車は米国に輸入することが難しいが、実は発売から25年以上経過したものは販売可能になるという「25年ルール」がある。そのため、売られているのは非常に古い軽トラばかりだが、それでも人気なのはなぜか? 2014年にカリフォルニア州で中古軽トラの輸入を始めた「オーイワ」のオーナー、ジョージ・ゾトス氏は「当時住んでいたサンフランシスコは米国産の大きなクルマを停められるようなスペースが少ないこともあって、ルームメイトが小さい日本の軽トラに注目していた。そこで日本車を扱う業者を見つけて、オークションで購入する方法や輸入のプロセスを学び、輸入を始めた」と話す。 「中古軽トラは小型ながらも必要十分な機能を備えており、パワフルで安価。米国の中古車より走行距離も少ない。当社は6万マイル(約10万km)ほど走った軽トラを中心に輸入しているが、来店客は少ない走行距離に驚いている」(ゾトス氏) 汎用性の広さも評価されている。「フードトラックのような移動店舗や農業、塗装業に活用されたり、宣伝カーに使われている」という。 当初は、業務や趣味といった用途が中心だった中古軽トラだが、今では客層が広がっている。「燃費が良く、取り回しやすいので、通勤用に使う人が増えている」(ゾトス氏) ゾトス氏はオークションで500~5000ドルの中古軽トラを日本で購入し、6000~1万2000ドルで販売している。例えば、日本のオークションにおいて1000ドルで落札した中古軽トラには輸送料や25%の関税、さらに利益なども加えると米国での販売価格は約6500ドルになるという。販売台数は月20~30台。車種では日本での販売が終了したホンダ「アクティ」が1番人気で、スバル「サンバー」がそれに続く。日本には軽トラを独自のデザインや仕様にカスタマイズして楽しむという趣味のジャンルがあるが、ゾトス氏はそれらも輸入販売している。米国の新車トラックよりも安価であることに加えて、日本人の手による仕上げの良さも好評だという。 人気はうなぎ登りだが、実は中古であっても軽自動車を運転できない州がある。米国内の自動車メーカーを守るためか、軽自動車の公道運転を禁じている州や、さらに厳格な排ガス規制を敷く州も存在する。そのため、オーイワを含む中古軽トラ輸入業者は、全州で公道での運転が許可されるよう、連邦政府に対してロビー活動を行っているという。
飯塚 真紀子