今日オークス!”白馬のヒロイン”ソダシは史上3頭目となる無敗の牝馬2冠を果たせるのか…クリアすべき3条件とは?
しかも、今回は追い風がある。 阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞と2度のG1で大接戦を演じ、距離が延びるオークスでは、逆転可能とさえみられていた最大の宿敵、サトノレイナスが、日本ダービーへ参戦することで不在。メンバー構成にも恵まれた。 「いろんなレースで結果を出している。左回りは気にならないし、2400メートルも持つと思う。相手関係より、ふだん通りにソダシの走りができれば」と吉田隼人騎手。 実際、スプリント色の強い馬が出走しなくなった近年のオークスは3歳春の時点で完成度や素質面でリードしている桜花賞組が好成績を残している。 過去10年の桜花賞馬でオークスに向かい、2ケタ着順に沈んだレッツゴードンキ、レーヌミノルはその後の成績からも短距離志向。一方、2冠に輝いたジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトは、その後ジャパンカップでも結果を出している。現時点でのソダシの足跡はこれら名牝と比べても遜色ないか、それ以上。将来的にみて2400メートルは合っていると思えないが、大崩れは考えづらい。 コンディションも上々だ。桜花賞から中5週。その間は栗東に在厩し、オークス仕様の調整ができた。白毛の馬体には張りがあり、ボリュームを感じさせる。1週前にはCウッドコースで長めから3頭併せ、直線では内から力強く抜け出した。最終追い切りは坂路で併せ、半馬身先着。「息を整える程度。言うことない仕上がり」と須貝調教師尚は納得顔だった。 ただ血統からも気性が激しいタイプ。吉田隼人騎手も、その点を気にしており「当日のテンションが大事」とひとつのポイントとして挙げていた。関東への遠征競馬ということもあり、当日の馬体や、パドック気配はチェックする必要がありそうだ。
もうひとつ課題とされるのが800メートルの距離延長だ。これについてはナーバスになる必要はないかもしれない。クロフネ産駒の平地重賞勝利はすべて1800メートル以下、オークスでもホエールキャプチャの3着が最高と血統からは不安があるが、1800メートルを2戦した札幌の内容からもソダシはスタミナ十分。須貝調教師は全く気にしていなかった。 「札幌で新馬をおろすときからオークスをイメージしていたほど。ダービーにも1次登録したし、距離が延びても大丈夫という認識はある。前回の東京では少しイレ込んだが、輸送もこなした。道悪になってもパワーがあるので他の馬がしんどくなるなら少々悪くなった方がプラスかも」 むしろ気になるのはレース展開。逃げ馬が不在なところかもしれない。陣営は「行ってもいい」と大胆な戦法を示唆しているが、これは本音ではないだろう。 オークスを逃げて勝ったのはダイワエルシエーロ、イソノルーブルが浮かぶぐらいで逃げ馬には受難というのが定説。ソダシは操縦性も高く、柔軟に対応するかもしれない。しかし、初めて逃げたことで戸惑い、直線失速というシーンは競馬ではよくあることだ。鼻を切らずに好位置キープが理想だろうが、ゲートが開いてみなければわからない。 さらに強力な逃げ馬がいないことで。桜花賞と違い、スローペースが予想されるのもソダシにとっては問題になる。折り合い面に関して鞍上は「ペースが速くなると問題ないが、スタートして突っ込む面はいまだにある」とみていた。観衆は少ないとは言え、有観客でのスタンド前発走はテンションの面で多少気になるところだ。 昨年のデアリングタクトがそうであったようにマークもキツくなる。包囲網をどうさばくかもポイントになりそうだが、ソダシは過去の上がり3ハロンの最速が33秒8。33秒台前半の末脚が使える馬に切れ負けする危険性もある。 悪夢のシナリオは鞍上が大事に乗りすぎ、仕掛けどころで躊躇したケースだろう。スローからの瞬発力勝負になった場合に、差し馬のえじきとなり、二の矢、三の矢までは何とかしのげても、最後の最後に逆転を許すかもしれない。