自分らしさを感じた一撃「積み重ねがそうなる」 20年間で1度だけ…ザックジャパン伝説ゴールの真相【インタビュー】
元日本代表MF細貝萌の半生、11年アジアカップ韓国戦で決めたゴールを語る
2024シーズン限りで現役を引退したザスパ群馬のMF細貝萌は、キャリアの中で日本代表30試合に出場した。最も知られているのは、2011年アジアカップの韓国代表戦で決めたゴールだろう。その背景にあったものには、一般的によく言われているものとは少し違う事実があり、一方でプロ生活の中で信念として持っていたものもあった。(取材・文=轡田哲朗/全6回の4回目) 【実際の映像】「20年間で1度だけ」 元日本代表MF細貝萌のが決めたザックジャパン伝説のゴール ◇ ◇ ◇ 細貝がアルベルト・ザッケローニ監督から日本代表チームに継続的な招集を受けるようになり、浦和レッズでも2010年シーズンを戦い終えるとドイツのレーバークーゼンへの移籍と、期限付きで2部のアウクスブルクへ移籍することが発表された。それと同時に、2011年の1月にカタールで開催されたアジアカップへの選出も決まった。そのスケジュールは「1月1日にドイツに渡って契約して、2日にカタール入りした」というバタバタとしたものだった。 日本代表は初戦のヨルダン戦を試合終了間際に吉田麻也の同点ゴールで何とか引き分けに持ち込み、第2戦のシリア戦ではGK川島永嗣が退場処分になる大ピンチを迎えながらも勝利するギリギリの立ち上がりだった。それでも徐々に調子を上げながら勝ち上がった。準決勝の対戦相手は宿敵・韓国。両チームが1点ずつを奪い延長戦へ突入した激闘で、細貝は後半42分からピッチに立っていた。 延長前半7分、日本がPKを獲得するとキッカーは本田圭佑。しかし、そのキックは相手GKチョン・ソンリョンにストップされた。その瞬間、背番号13の細貝が誰よりも早くこぼれ球に詰めて押し込んだ。その後に同点とされた日本は最終的にPK戦で勝ち抜くが、この細貝の一撃は多くの人の記憶に残ることになった。 「僕が予想している以上に、色々な方が知ってくれていて。あの大会は日本でやっていたわけでもなく中東でやっていて、大会が終わってそのままドイツに行ったので、どれだけアジアカップが注目されたか分からなかった。でも、あのPKのこぼれ球を決めた瞬間が日本ですごく盛り上がっていたと後から聞いた。 それだけ日本代表で点を取ること、親善試合も大事だけど、アジアカップという舞台で優勝する過程でライバルと呼ばれる韓国戦で点を取ったインパクトが色々な場所に残っている。今、群馬に来ても色々な方が触れてくれるので、あのゴールにインパクトがあったんだと思うことが多いですね」