40歳以上の初期流産率は30%以上…産婦人科医が明かす「高齢出産」2つの壁
妊婦健診ではなかなか聞きたくても聞けない妊娠~出産~産後の不安&疑問をどこよりも丁寧に解説した妊娠・出産ガイド『はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK』。その中から気になるトピックをご紹介。 【妊娠・出産のお金のリアル】“かかる費用”や“もらえる助成金”を現役産婦人科医が解説! 今は、かなり多くの人が一般常識的にわかるようになった「女性の卵子の数には限りがある」という事実。約700万個あった卵子は初潮を迎える頃には約30万個まで減り、毎月の生理で数百個ずつ失われ、閉経を迎えます。 
卵子の数の移り変わり
お母さんのおなかの中にいる時から閉経までの卵子の数の移り変わりを表したグラフです。生まれた時にすでに500万個も減ってしまうんですね。 「じゃ、卵子がなくなる前であれば、不妊治療の技術も進歩したし、高齢でも楽に妊娠ができるんじゃないか」というと、そう簡単にはいかないのが現実です。卵子と精子を体の外で受精させ、子宮内に戻す体外受精に初めて成功してから数年余。成功当時は「進歩した技術によって多くの不妊症カップルが救われるであろう」と、考えられてきました。 しかし体外受精の症例が増え、実際に年齢別にどれくらいの妊娠確率なのかを調べたところ、1回の胚移植により妊娠する可能性は30歳以下で50%ですが、40歳では30%、45歳になると10%を切ってしまうという結果に。しかもその後の初期流産率についても、若い年齢だと10~15%ですが、40歳以上だと30%を超え、45歳になると約 60%の高い確率になります。つまり、高齢では、低い妊娠率と高い流産率の2つの壁を越えなくてはならず、いまだ年齢リスクを乗り越えたとはいいがたいのです。 今後、発生途中の胚から一部の細胞を取り出して染色体検査をする着床前診断や、若い間に卵子を凍結保存しておく卵子・卵巣凍結などで、 年齢リスクを乗り越えることが可能になるかもしれませんが、高齢の妊娠では妊娠高血圧症候群をはじめとしたさまざまな合併症も増えるし、何よりも不妊治療は精神的、肉体的、時間的な負担がとても大きいです。医師として誤解を恐れずに言わせていただくと、やはり早い年齢で妊娠するのがベターです。