利上げ停止から利下げサイクルで注目される債券投資、分散投資のタイミング?
現在の環境は、必ずしも米国経済が不況に落ち込んで、米国企業の業績が悪化する見通しにあるというものではない。このため、米国の利下げ転換のタイミングが後ずれしている。しかし、政策金利が5%超の水準で長期に固定されることは考えられないため、遠からず利下げが開始されると考えて良く、利下げは債券ファンドにとってプラスに働くことは間違いない。今後の政策変更を見越して、債券ファンドにも注目するタイミングに来ているだろう。
現在の米国債券市場の水準について債券の運用で世界最大規模の運用者であるPIMCO社は、今年2月28日に発行した「『野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド』当ファンドの足元の運用状況」というレポートで、「米国債券は米国株式対比での割安感も強まっています。1株当たりの純利益を株価で割って算出する米国株式の益利回りと米国総合債券指数の利回りを比べると、米国総合債券指数の利回りは過去20年間で初めて米国株式の益利回りを上回る水準となっています。相対的なバリュエーションの観点からも、債券への投資は魅力的であると考えられます」と指摘している。
今回の利下げ局面は、「コロナ・ショック」による未曽有の経済停止状態から回復しようと各国の中央銀行が一斉の利下げに動き、そして、経済回復に伴う急速のインフレの発生のために、一斉に利上げに動くという各国連動した動きを経た後での対応になる。各国それぞれの経済の強さによって、今後の利下げタイミングの見極めは個々の国や地域の事情を反映したものになるだろう。各国一斉の金利変更ということにはならないと考えられる。経済の分析力や中央銀行の対応に対する判断の良し悪しが債券ファンドの運用に格差をもたらすことになると考えられる。運用力に優れたアクティブ型の債券ファンドには、活躍期待が高まっている。(グラフはグローバル債券ファンドの為替ヘッジあり・なしのパフォーマンス推移)
ウエルスアドバイザー