世界の樹種、3分の1以上が絶滅の危機 IUCNレッドリスト
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【10月30日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)は28日、世界中で確認されている樹種の3分の1以上が絶滅の危機にひんしているとするレッドリスト(Red List、絶滅の恐れのある野生生物種のリスト)の最新版を発表した。 IUCNは、コロンビア・カリ(Cali)で開かれている国連(UN)の生物多様性条約締約国会議(COP16)に合わせてレッドリストを報告。 世界には約5万8000種の樹木が存在すると考えられているが、今回の調査では4万7000種以上が評価対象となった。このうち3分の1以上に相当する1万6000種以上が絶滅の危機にひんしているという。 樹木の伐採や農地開拓、都市開発などにより森林破壊が進み、さらに気候変動によって干ばつや山火事も深刻化している。 樹木の減少は単なる象徴的なものではなく、専門家のエミリー・ビーチ(Emily Beech)氏が指摘するように、人間は「食料、木材、燃料、医薬品としても樹木に頼っている」。 樹木はまた酸素を生成し、大気中に存在する温室効果ガスの一種である二酸化炭素(CO2)を吸収している。 IUCNのグレーテル・アギラル(Grethel Aguilar)事務局長は、「大勢の人間の生活と生計を樹木が支えている」とし、「樹木は生態系において、その重要な役割を通じて地球上の生命を維持するために必要不可欠だ」と訴えた。 報告書は、植樹による森林保護と回復、種子銀行や植物園のコレクションによる絶滅危惧種の保護を呼び掛けている。(c)AFPBB News