【記者が予測】「Yahoo!ショッピング」、『ベストストアアワード2024』を開催 今後の受賞の鍵は「LINE」の攻略
今年もLINEヤフーが運営する「ヤフーショッピング」において優れたストアを表彰する「ベストストアアワード2024」が開催される見通しだ。今年はどのストアが受賞するのか。トレンドが何になるかを予測しながら期待したい。 LINEヤフーが昨年開催した「ベストストアアワード2023」では、大賞にワイン、ビール、発泡酒、チューハイ、ハイボール、飲料水などを展開する「FELICITY Beer&Water」を選出した。ファッションでは「ギャレリア Bag&Luggage」、食品では「リカーBOSS」、家電では「コジマYahoo!店」などを選出した。 「ベストストアアワード2023」において、LINEヤフーは「LINE」「ヤフー」「PayPay」が連携した「LYPプレミアム」が鍵を握ったと発表した。2024年度の方針としても、引き続き「LYPプレミアム」の会員獲得を強化しており、テレビCMなどを放送して、新規顧客の獲得に努めている。個人的に2024年の受賞においても、「LYPプレミアム」「迅速な配送」が受賞の鍵になると予測でき、今後の展望としては、上記に加えて、「LINE」のリニューアルにより、どれだけ「LINE」をうまく活用して売り上げを伸ばせたかが、さらなる受賞の分かれ目になるかもしれないと推察している。
受賞企業の共通点は?
一部の受賞企業の声を見てみる。 スポーツ用品の販売を行うアルペンは、「スポーツ・レジャーグループ総合賞」を受賞した。受賞できた要因について、「当社は以前より配送には力を入れており、『優良配送』にはこだわってきた。それだけでなく、しっかりと売り上げを伸ばせるようさまざまな施策を実行してきた」(担当者)と振り返る。 アルペンでは、倉庫内の作業において積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めている。2018年、ECの専用倉庫である東日本フルフィルメントセンターにGTP型(貨物をピッキングする作業者の場所や、棚入れする場所まで荷物を運んでくるタイプ)の棚搬送ロボットを導入した。 「ロボットを導入したり、システムを入れ替えたりと、とにかく配送面にはこだわっている。多くの顧客は速く商品が届くことを望んでいる。当社としてもこのことを念頭に置いている。配送の下地が整い、処理時間が改善され、その結果、受賞につながったと思っている。今年の春には、EC旗艦倉庫『中京フルフィルメントセンター』を開設し、さらに物流面を強化していく」(同)と展望を話す。 売り上げに関しても、「優良配送」商品の購入が続くほか、他社では取り扱っていない商品や、セット商品、イベント商品などを開発した。安売りではなく、利益が確保できる商品内容を考案し、販売に注力したという。 ファンケルは「ビューティー・ヘルスケア部門」を受賞した。多くのSKUを展開し各商品で販売を強化できたことが奏功したという。 「FANCL公式ショップYahoo!店」では、SKUが700を超える。その中でも注力商材と育成商材の2軸で商品の販売を強化した。 「注力商材はブランドを代表する人気商品に磨きをかけること。サプリメントでは『大人のカロリミット』、化粧品では人気のマイルドクレンジング オイルから毛穴ケアに特化した新商品『マイルドクレンジング オイル 〈ブラック&スムース〉』において幅広いユーザー層への販売強化ができた。育成商材では『ヤフーショッピング』を利用するお客さまと親和性の高そうな商品を選定した。サプリメントでは『コレステサポート』や『ビタミン系』、化粧品では男性向けスキンケア『メンシリーズなど販売強化を行った。具体的には注力商材・育成商材どちらも検索連動広告を活用したり、『ヤフーショッピング』主催のイベントに参加することで、売り上げ増加を目指した。2023年は予算を最適な広告メニューに配分し、運用を模索していた」(担当者)と話す。 「リカーBOSS ヤフーショッピング店」を運営するモリフジの梶沢佳孝副社長は、「2023年は『プロモーションパッケージ』に入ったことから、店舗へのアクセス数が増加し、新規顧客獲得に寄与した」と話す。現在も「プロモーションパッケージ」は重要施策と捉えているようだ。 LINEヤフーが運営する「ヤフーショッピング」は、「PayPay」と連動した大型販促企画を定期的に開催しており、土台はここで売り上げを伸ばし、さらに配送が遅れないストアが「ヤフーベストストアアワード」に選出されるのだろう。単純に売り上げを伸ばすと言っても「プロモーションパッケージ」を利用したり、工夫は必要だ。 2025年に向けては、ヤマト運輸が「ヤフーショッピング」出店ストア向けの物流代行サービス「ヤフーストア向け フルフィルメントサービス」の終了を発表しており、配送に関してストアは新たな工夫が必要となるだろう。「ヤフーストア向け フルフィルメントサービス」を利用すると「ヤフーショッピング」で定められた優良基準を満たす配送レベルで配達が可能だった。だが、今後は対象外になるため、ストアはどのように配送を円滑に行っていくのかが重要となる。 「ヤフーベストストアアワード2024」の開催と、そこで発表されるであろう2025年度の「ヤフーショッピング」の戦略について心待ちにしたい。
日本ネット経済新聞