ジル・ビルヌーブを称えるブロンズ像が記念ミュージアムから盗まれる。息子ジャックも憤り、同施設は報奨金を用意し捜索へ
F1のレジェンドドライバーであるジル・ビルヌーブの息子ジャック・ビルヌーブは、亡くなったレーシング界の伝説的人物を記念するミュージアムから父親のブロンズ像が盗まれたことについて激しい憤りを表明した。 【写真】ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットのフィニッシュラインには“Salut Gilles”とメッセージが書かれている 1997年のF1世界チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、ファンと地元住民を動揺させたこの忌まわしい行為を非難し、犯人を「恥知らずで魂のないものたち」と呼んだ。 ビルヌーブの名前は長い間、世界中のF1ファンの心のなかで特別な位置を占めてきたが、ジル・ビルヌーブが生まれたカナダのケベック州ベルティエヴィルでは、彼のレガシーが町のアイデンティティに織り込まれている。ジル・ビルヌーブ・ミュージアムは、1982年に悲劇的な死を遂げるまで大胆不敵なドライビングで人々の心をつかみ、スポーツ界に消えることのない足跡を残したレース界のレジェンドに敬意を表して建てられた。 しかし2週間前、カナダの英雄となったジル・ビルヌーブへの等身大のオマージュである彼のブロンズ像が、博物館の正面から盗まれてしまった。ブロンズ像は犯人によって足首から切断されており、ビルヌーブ家に衝撃と信じられない思いを残した。ジャック・ビルヌーブにとって、この窃盗は単なる犯罪ではない。それは愛する人物に対する記憶を冷酷に無視する、理解しがたい行為だ。 「ミュージアムで父のブロンズ像が盗まれた」とジャックはインスタグラムに感情的な投稿をし、悲しみと怒りが入り混じった気持ちを綴った。 「このような恥知らずで魂のない存在は人間と呼ばれるに値しない」 『CanadaCasino.ca』とのインタビューで、ジャックは当惑と苛立ちを表し、目撃者がいないなかでどうしてこのような行為が行われたのか疑問を呈した。 「なぜそんなことをする人がいるのだろう？ 私には理解できない。あれは、盗んで隠して売ることができるような金やダイヤモンドとは違う。信じられないことだ」とジャックは語った。 元F1ドライバーのジャックにとって、運ぶことだけを考えてもこの盗難は想像もできないことだ。 「かなり大きくて重いものなので、切り倒すのに大変な労力がかかるし、運ぶには大きなトラックが必要になる」 「誰も気づかなかったというが、それは輪をかけておかしいことだ。誰かがそんなことをしているのに、なぜ気づかないのだろうか？ そして、あれをどうしようというのか？ あれは足が欠けている。売ることはできない。売ろうとしたら、盗んだばか者だとすぐに気づかれてしまうだろう」 「溶かしたとしても、大した価値はないだろう。ブロンズはそれほど価値が高くない。だから、無意味なことだ。金銭的にもだ。あれを盗むのにかかった金額を考えると、まったく意味がない」 助けを求めるミュージアムからの訴えも、同様の緊迫感を反映している。像の回収につながる情報に1万2000ドル（約185万円）の報奨金がかけられており、同施設はソーシャルメディアで「重要なのはジルをミュージアムに連れ戻すことだ！」とメッセージを発信している。 ジャックとミュージアムにとって、この像は単なる物質的な意味以上のものを表す。それは歴史の一部であり、カナダの象徴を記念する公共の記念碑なのだ。ジル・ビルヌーブの功績はカナダのモータースポーツ史の礎であり、彼の息子は生涯をかけてサーキットでも公の場でも彼を称賛してきた。今、彼と多くの人々は、ジルの勇気と才能を思い出させる大切な盗まれた像を本来あるべき場所に戻し、引き続きファンがインスピレーションを受けて、あまりに早くこの世を去ったレーシングヒーローに敬意を表せるようになることを願っている。 [オートスポーツweb 2024年11月14日]
