稼ぐほどに税金が取られるなら、必要最低限の仕事に留めておくのが賢いですよね?
しばしば、「働いたら負け」という言葉を見聞きすることもあるでしょう。ニートなど働いていない人が口にすることの多い言葉ではありますが、稼ぎが多くなるほど税率が高くなることを理由に、こうした考えを持つ人もいます。一方で、どうせ働くのであれば、たくさん稼いだ方がよいという意見もあります。 今回は、稼ぐほどに税金を取られるなら、必要最低限の仕事にとどめておいた方がよいのかということを考えてみます。
稼ぐほどに税金は取られる?
働いて収入を得れば、その金額に応じて税金を支払わなければいけません。特に問題なのは、所得税です。所得税には累進課税制度が適用されています。つまり、課税所得金額が増えるほど、税率が上がる仕組みです。 国税庁によると、平成27年以降では、課税所得金額が195万~329万9000円の場合は税率が10%(控除額は9万7500円)、330万~694万9000円の場合は税率が20%(控除額は42万7500円)などとなっています。課税所得金額が4000万円以上となると、税率は45%(控除額は479万6000円)です。 例えば、課税所得金額が200万円の人がいたとしましょう。この場合の所得税率は10%なので、まずは、20万円という金額が算出されます。この20万円から控除額である9万7500円を引くと10万2500円となりますが、これが年収200万円の人の所得税額です。課税所得金額が500万円の人の場合で同じように計算をすると、所得税額は57万2500円となります。
納税額も増えるが手取りも増える
課税所得金額から所得税額を計算すると、確かに稼げば稼ぐほど多くの税金を取られていることが分かります。しかし、必要最低限の仕事にとどめておくのが賢い選択かどうかは、また別の問題です。例えば、課税所得金額200万円の人が10万2500円の所得税を納めると、残りは189万7500円となります。課税所得金額500万円の人が所得税を納めると、残りは442万7500円です。 実際には住民税なども納める必要があるので、手元に残る金額はさらに少なくなります。それでも、課税所得金額が増えるほどに手取り額も多くなるのは変わりません。手取りが増えれば、より高級な家に住めたり、より高価な家具や家電をそろえられたりします。趣味に使えるお金やおいしいものを食べられる機会も増えるでしょう。