日本人に「パーソナルカラー診断」は必要ない!?女性社長が「上品で華やか」と絶賛された服選びのポイントとは
皆さんは、どのような基準で着る服を選んでいますか?2021年に消費者庁が全国の男女2,000人に行った調査によると、7割以上の人が服を購入する際に「価格」「デザイン」を重視するそう。「ファッションにも理論や仕組みがあり、それを知るだけで簡単に『センスのいい着こなし』ができます」と語るのは、ファッション・プロデューサーのしぎはらひろ子さん。しぎはらさんは、「第一印象は色で決まる、と言っても過言ではありません」と言っていて――。 【書影】時代にもトレンドにも踊らされずに自分の洋服を選ぶ方法を伝授!しぎはらひろ子『「センスがいい人」だけが知っていること』 * * * * * * * ◆服選びにカラー診断は無用! 今や「パーソナルカラー診断」は常識のようになっていて、今ではSNSの自己紹介代わりに「私はイエベ」「私はブルベ」と言っている人もいますね。 ですが、服を選ぶときにはこうしたカラー診断の理論を自分にあてはめる必要はありません。なぜかというと、カラー診断は基本的に「首の真下にある色を、あなたの顔に反射させ、いちばん美しく見える色はどれなのか?」を調べる診断だからです。 ファッションの目的は、単に顔色をよく見せることではありませんよね。 「こんにちは」と相手の前に現れたときの姿がどういう印象を与えるか、が最も大切。 第一印象は色で決まる、と言っても過言ではありません。なぜなら、面積が大きな洋服の色が持っている色彩心理のイメージが着ている人の印象を左右しやすいからです。ですから、服の色のことを優先的に考えていいと私は思います。 もちろん「顔映りがよい、悪い」という現象は実際にありますが、顔に映り込んで大きく影響するのは首の真下の色と、髪色、わずかに影響するのが瞳の色です。気になるなら首元にスカーフやストールを巻いたり、デコルテが大きく開いたデザインを選んだりすれば似合うか否か?という問題は簡単に解決できます。
◆カラー診断は世界中の肌の色を基本としたもの 最初にこのお話をしたのは、「カラー診断が気になって着たい色を着られない」というお悩みはよくあるものの、それは自ら「ファッションの可能性=なりたい自分になれる可能性」を、半減させているのと同じだとお伝えしたかったからです。 そもそもカラー診断とは、アメリカで生まれたものです。 ありとあらゆる肌・髪・目の色をした人たちが歩いているアメリカのニューヨーク5番街で、あなたがTシャツ専門店の店長として働いていたとしましょう。 扱うTシャツの色は30色あります。すると店長のあなたに、チョコレート色の肌をしたエイミーという女性客がこう言いにきました。 「この店の販売員はどうなってるの? 私に似合うTシャツの色は何色か聞いたら、あの販売員は『こちらが似合います』、ほかの販売員は『こちらがお似合いです』って、すすめてくる色が全部違うのよ! 私はいったいどの色を着ればいいの?」 さあ、あなたなら何と答えますか? 100人いたら、それこそ100通りの肌色と髪色をしたお客様が来店する店では、何か基準を作らなければお客様に最善のアドバイスができませんよね。 そこで、あらゆる肌色や髪色の人たちがそれぞれに似合う色を選びやすいように作られたのが、カラー診断の理論なのです。 もし私たち日本人がニューヨーク5番街のTシャツ専門店に行ったなら、店員さんは間違いなく私たちを「全員イエベ」と判断するでしょう。世界的な目で見れば、日本人の肌色はみんな同じに見えるくらい大差がないからです。 そんな私たちに、世界中の肌の色を基準に誕生したカラー診断の理論を当てはめる必要性は、果たしてどれほどあるだろう……と、私は思っています。 実際にスタイリングのお仕事の中で、カラー診断でお困りのお客様の「縛り」を外して、結果的にとても喜んでいただけたことがあります。 そのお客様はある企業の女性社長で、前に依頼したスタイリストから「カラー診断はイエベのスプリング、顔タイプ診断はキュートタイプ、骨格診断はナチュラル」と言われていました。「ですから、この診断結果以外の服は着ないでくださいね」とアドバイスを受け、その通りのファッションにしてみたものの、「これだと一企業を担う社長としてのイメージづくりが思うようにいかないんです」と悩んでいたのです。 そこで私は「診断のことはいったん全部忘れましょう! いちばん大切なことは、ビジネスで有利に働くファッションを身につけていること」と、なりたいイメージを改めて整理し、ゼロからスタイリングの再構築をしました。 企業のコーポレート・カラーのネイビーをポイントに、知的でクールなスッキリとしたデザイン、素材は上質で気品あふれる光沢を意識し、誰が見ても社長とわかる存在感を演出しました。すると、「こんな服は初めて着たけれど、しっくりきます!」と、ご本人は満面の笑顔。 そのときのコーディネートでファッション誌に登場したところ、「『なんて上品で華やか。さすが**の社長ですね』と、多くの方から大絶賛されました」と、うれしい報告が届きました。