日本人に「パーソナルカラー診断」は必要ない!?女性社長が「上品で華やか」と絶賛された服選びのポイントとは
◆多様化によって曖昧になったカラー診断 現在、カラー診断の基準はかなり曖昧になってきているようです。 パーソナルカラー診断を深く考察し、「色」の歴史を遡(さかのぼ)ると、ニュートンの『光学』、ゲーテの『色彩論』を起点としています。 そして、今では幅広く認知されている「ブルーベース/イエローベース」の考え方については、1928年アメリカでロバート・ドア氏が配色調和・不調和の原理を発見したことに始まります。 その流れを受けた、日本のパーソナルカラーの創成期は1980年代です。当時、パーソナルカラーに関心を持った人々が渡米してパーソナルカラーを学び、日本に持ち帰って次々と独立し、活躍するようになったのです。 やがてそこに日本の化粧品メーカーも参入し始め、他社との差別化を図るためにカラーパレットの分け方を変えたり、名称を変えたりと独自性を打ち出していった結果、診断基準にはしだいに曖昧になり、統一感がなくなりました。 ですから現在は、診断する専門家や診断時の場所によって診断結果が違う、ということが起こっているのです。
◆似合う色、似合わない色を気にしない こうして詳しく紐解いてみると、「似合う色・似合わない色」の線引きというのは、本当に曖昧なものだということがおわかりいただけたのではないでしょうか? また、「似合わない色」はファッション的には存在しない、と私は思っています。 というのも、繰り返しになりますが、カラー診断は「首の真下にある色が顔に映り込むことで、顔色に影響を与える」という原理に基づいて、肌映りの良し悪しを判断しているに過ぎないからです。服、髪色、メイク、小物など、ファッション全体をコーディネートすることで、印象はいかようにでも変えられます。 また「この色は似合う、似合わない」と感じる理由には、単に「慣れ」もあります。普段着ない色を試すと「わっ、やっぱりこんな色似合わない!」と思いがちですが、それは自分が普段身につけない色なので、見慣れないことから起こる違和感です。 特に日本では、学生服やスーツなど固定の色を着続けることが多いので、ビビッドピンクや赤などの華やかな色を着ることに慣れていない方がとても多いと思います。 日本でずっとネイビーの学生服を着て育ってきた女の子が、突然アメリカの西海岸に転校することになって、急にバービーのようにビビッドな色の服に囲まれたら「えっ、私がこんな色の服を着るの?」と最初は戸惑うでしょう。それでも、慣れてくれば、そうした色を自然と着られるようになるはずです。 ですから、これまで服を見ると条件反射的に「無難そうな色」を選んでしまっていた方は、「惹かれた色なら自由に着ていい」と、自分にOKを出してあげてください。「縛り」がひとつ外れて、服選びの幅が広がり、とても楽しくなっていくはずです。 ちなみに「色選びが苦手だから、いつもモノトーン」という方もいますが、じつは白と黒はなかなか手ごわい色です。 白という色はコットン100%は純朴、清純、シルクは上品、艶やか、ニットは甘い、柔らかなというように、素材のもつ特性がストレートに「服の言葉」としてイメージに繋がります。 一方の黒は、服の「質」がハッキリ出ます。スタイリッシュに見えるか、華やかに見えるか、陰気に見えるかは、すべて素材の良し悪しにかかってくるので要注意です。 モノトーンを着るときは、素材やデザインのもつ言葉に耳を傾けて、「自分のなりたい印象を言葉に持つ服」を選んでくださいね。 ※本稿は、『「センスがいい人」だけが知っていること』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
しぎはらひろ子