【毎日書評】同じ1ドル=150円なのに、円安だ円高だと変わるわけは?池上彰さんがずばり解説
このところ円安が進んだかと思うと、急に少し円高になったりと、大きな変化が起きています。株価も上がりました。日経平均株価が大きく上昇し、「バブル崩壊以来の高値」と言われるようになっています。 これまで日本経済はデフレが続き、「失われた30年」などとも言われましたが、どうやらやっとデフレから脱却し、今度はインフレの世の中になりつつあるようです。 でも、どうして日本経済は、このように変動するのでしょうか。(「はじめに──日本経済が大きく飛躍する兆しを読み解く」より) 『20歳の自分に教えたい経済のきほん』(池上彰 著、SB新書)の著者である池上彰さんも、自身が担当されているテレビ朝日系列の番組「池上彰のニュースそうだったのか!!」では折に触れてこの問題を取り上げてきたそうです。 経済にはどこか「難しい」というイメージがありますし、それは事実かもしれません。とはいえ順を追って解きほぐしていけば、案外わかりやすくもなるもの。そこで番組でも、「どうすればわかりやすくなるか」に重点を置いているわけです。「お金のきほん」や「現代史のきほん」「地政学のきほん」などに続くシリーズの最新作である本書も、その流れのなかで誕生したということです。 そして今回は「経済」です。経済の仕組みを基本から解説しています。(中略)日本経済の低迷、世界的な物価高、アメリカの銀行破綻、中国の特殊な経済システムなど、世界経済を読み解くには、円高・円安やインフレ・デフレなどの「経済のきほん」を知る必要があるからです。そのため、この本では「円安とはどういうことか?」「デフレとは?」など「経済のきほん」を、場面に応じてくり返し解説しています。(「はじめに──日本経済が大きく飛躍する兆しを読み解く」より) そうした流れに沿って見ていけば、経済はわかりやすくなると池上さんはいいます。きょうはそのなかから、第5章「なぜ景気は良くならないのか? ──1987年と2023年の『1ドル=150円』はどう違うか?」に焦点を当ててみたいと思います。